基板やICなど、精密機器の製造を行う工場の工場長として、私が長年抱えていた問題があります。
製造時の歩留まりが少々悪く、また故障率も高い製品。
これを製造すること自体がリスクになり得る…そんなギリギリの製品というものがあります。
またクレームだよ。この製品もう売りたくないよという声を何度も聞きつつ、込み入った事情で製造をやめられないというやっかいなもの。
予算的に製造ラインは組み直せないし、どうしようもない。
そんな貧乏神のような存在って、ないですか?
それをなんとか解決しようと取り組んだのが、AIによる故障予測でした。
AIによる故障予測で、実際なにがどう変わったのかを見て行きましょう。ラインは変えられないし、製品は相変わらず故障する。
ならば、せめていつ故障するのかを予測できないかと思いました。故障時期が予測できれば対応できることがあります。
そこで過去のデータをあらって、故障時期を割り出そうとしたのですが、実際の故障時期はまちまち。半年で壊れるものや、5年後に壊れるものなど、予測といってもなかなか難しい現実がありました。
ラインの責任者も、この製品の故障は予測が付かない。予測できるわけがない。とあきらめ顔。
手詰まりかと思えたのですが、ダメ元でAI予測を行うティファナに相談を持ちかけたところ、なんと予測が可能である事が分かったのです。
なぜ故障するのか、なぜ故障時期が違うのか、と言う部分を掘り下げていくと、製品の利用される頻度、負荷のかかる時間、さらには納入先の気候、現場の粉塵、温度・湿度等が関わっている事が分かりました。つまり、それらのデータがあれば、故障時期が予測できるというのです。
故障時期がある程度予測できるようになったので、その対応を始めました。
いつ故障しそうか分かるならば、先回りしてメンテナンスを行えば良いのです。
出張は増えますが、故障が起きて急に出張になるのとはわけが違います。
しかも、予想外のことが起こりました。
なんと売上げが上がったのです。
先回りしてメンテナンスすることで、もちろんクレーム率は下がったのですが、メンテナンスに伺うことでお客様と話す機会が増え、そこでもらう要望が新たな利益に繋がる。
クレームで対応していたら、お客様もなにかあたらしい製品が欲しいなんて言わないでしょう?
これが、AIの故障予測による副次的な利益となったのです。
AI予測は将来性のある分野だと感じました。
予測できないとあきらめずに、まずは専門家に聞いてみることです。
故障率の他にも、歩留まり改善や製造ライン自体の製造効率アップに使えないかとさらに相談している最中です。
データさえあれば予測が可能なので、今まで使い道があるのかどうかも分からずにただ蓄積していたデータが、こんな予測に役立つのかと、驚くことしきりです。
さらに有効活用して、売上げを上げていこうと思います。
澁谷さくら(AIさくらさん)
登録・チューニング作業をお客様が一切することなく利用できる超高性能AI。
運用やメンテナンス作業は完全自動化。問い合わせ回数や時間を問わない無制限サポート、クライアントの業務に合わせた独自カスタマイズで、DX推進を目指す多くの企業が採用。