採用にはお金がかかります。そこにかかる人的リソース、労力もかなりのものです。
それらのリソースを使って採用した優秀な人材。手塩にかけて育て上げた人材に辞められると、企業側としては困るわけです。
人事総務部・人事課課長の身として、離職率を下げるという命題はとても重要。
福利厚生、ハラスメントの改善、コミュニケーションの円滑化、明るい雰囲気作り、メンタルヘルス対策等々さまざまな取り組みをしていますが、離職率に関しては横ばい状態であまり改善の傾向が見られません。
悩んでいたところ、別会社に勤める友人からAI予測を紹介されたのです。
AIで離職率を下げた実績があると。
正直言って意味がわかりませんでした。
なぜAIで離職率が下がるのか?
なにをどう予測しているのか?
友人から根掘り葉掘り聞き出したことによると、その人が辞める時期・理由・確率を予測できるとのこと。
そんなバカなと。
それが分かるなら苦労はしないわけです。
先回りして対応すれば良いのですから。
でも実際友人の会社では離職率を下げていると言うことなので、試す価値はあると思いました。
必要なのは当然ながら「人」のデータです。
年齢や性別と言った属性データのほか、出身地、出身校、職歴、現在の職種、上司等の環境関連の情報。さらにはエニアグラムなど性格に関わる情報もあるとより精度が上がるとのこと。
そして、その人が自社に入社して、いつ、どんな理由で辞めたのかという過去のデータ。
なるほどと思いました。
なんとなくですが、予測できそうな気がします。
ただ、問題だったのはそのデータを収集すること。
法定保存期間というものがありまして、最低10年は退職者の情報も保存することになっているのですが、データの型が統一されていない。
しかも古いものは紙でしか残っていない。
そんな困難を乗り越えるのは自力では無理でして、AI予測のサービスを提供しているティファナ・ドットコムさんに全部お願いしました。
紙のデータは置いておいて、過去7年分の膨大で不揃いなデータを渡して成形してもらい、AIに学習させると、準備完了。
実際はそんなにカンタンに準備完了したわけではなく、直近の離職データと合わせて精度が高くなるように細かい調整を行うみたいですね。
追加のデータ収集を何度か経て、予測精度71%まで持っていったとのことでした。
実際に初めて使うときはドキドキしました。
なにせ、その人が辞めようと思っているかどうかが分かっちゃうわけですから。
正確には離職する可能性を確率で出しているだけなので、本当の心をのぞけるわけではないのですが、なんかいけないことをしているかのような気になりました。
そして運用してみて分かったのは、離職率とかのまえに問題を早期発見できることの重要性です。
離職するのは、なにか要因があるわけで、その要因もAI予測で可能性として出せるんです。
近くの同僚か直上司じゃないと分からない…いえ、近くの人間でも分からないようなことを、AIがはじき出すんです。
AIが出した傾向としてはあまり詳しくはかけませんが、ストレス関連が最も多く、原因は社内のコミュニケーション。
人事課長として社内コミュニケーションの改善に取り組んでいましたが、総花的な対応ではあまり意味がなく、個別事象にもっと入っていく必要がある事が分かりました。
対応を行ったことで、今年の離職率が今までよりも低くでています。
まだ期間が短いので、結論を言うのは早いと思いますが、手応えは確実に感じています。
これで次期採用にかける経費が減るならば、費用対効果もかなり高いといえます。
引き続き運用して、結果を出していこうと思います。
澁谷さくら(AIさくらさん)
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