自治体DXを加速させる「問い合わせ対応の外部化」。今治市が職員の専門性を守るために選んだ戦略

【課題】DX推進の障壁は「把握しきれない多様な問い合わせ」

今治市役所においてDX推進を担う現場では、行政サービス、市民生活、そしてまちづくりのデジタル化という広範なテーマと向き合っています。しかし、その志を阻むのは、庁内外から絶えず寄せられる「問い合わせ」への対応です。

「各課題をあらためて整理し、把握している最中」という現状において、窓口や電話、HP経由での定型的な質問に応じる時間は、本来の企画業務を圧迫する大きな負担となっていました。現場の担当者が抱く「もっと効率化できるはずだ」という思いは、単なる希望ではなく、専門業務を全うするための切実な危機感から生まれています。

【解決策】「アバター×チャットボット」でフロント業務を自動化

比較項目	従来の業務体制	AIさくらさん導入後の体制
職員の役割	問い合わせ対応 ＋ 事務作業	専門業務・DX企画に特化
対応チャネル	電話・対面・メールが主	アバター接客 ＋ 24時間Bot
情報の質	担当者の経験に依存	一貫した精度の高い回答を提供
業務の持続性	異動によるノウハウ喪失のリスク	蓄積されたデータによる継続的改善

今治市は、厳正なプロポーザルの結果として「AIさくらさん」を選定しました。最大のポイントは、アバター接客とチャットボットという「両軸」での対応が可能な点です。

「窓口やHPからの問い合わせ対応を補助してもらうことで、職員が事務作業により専念しやすい環境につながる」という期待は、まさに庁内の潜在的なニーズと合致していました。AIが一次受けを行うことで、職員は「人間にしかできない高度な判断」が必要な業務にリソースを集中させることが可能になります。

【展望】「事務作業ゼロ」の先にある、市民サービスの質向上

今治市が目指すのは、単なる「ツールの導入」ではなく、組織のパフォーマンス最適化です。担当者は今後の活用について次のように述べています。
「HP経由の問い合わせや来庁者対応の一部をお任せすることで、職員はより専門的な業務に集中できるはずです」

この「集中できる環境」の創出こそが、自治体DXの真の目的です。事務作業の時間が削減されることで、職員はより専門的なまちづくりの議論や、複雑な市民相談に時間を割けるようになります。また、この柔軟かつ分かりやすい仕組みは、「同じように導入を検討する自治体や企業にもおすすめできるポイント」として、今治市から全国のDX担当者へ向けた提言となっています。

よくある質問（FAQ）

Q1: 導入によって職員の仕事がなくなる不安はありませんか？

A: 仕事がなくなるのではなく、優先順位の低い「定型業務」から、職員の専門性が求められる「高度な行政課題」へとシフトするための投資です。今治市でも、事務に専念できる環境づくりを主眼に置いています。　

Q2: 導入にあたって現場の反対はありませんでしたか？

A: AIさくらさんはインターフェースが非常に分かりやすく、操作のハードルが低いため、現場のオペレーションに組み込みやすいのが特徴です。今治市では、庁内のニーズを丁寧に汲み取ることで、スムーズな導入へと繋げています。　

まとめ

今治市の事例は、自治体における「人財の最適配置」のモデルケースです。AIさくらさんという強力なデジタル・アシスタントを得ることで、職員は本来の使命である「豊かなまちづくり」に全力を注げるようになります。