



汎用性を求めた結果、回答到達率が3割に低迷した「高機能の罠」について解説します。
多くの導入事例では「成功の果実」ばかりが語られますが、ここではあえて「初期の失敗」を共有します。 運輸支局での導入当初、目指したのは「まるで人間のように対話できるAI」でした。しかし、稼働直後のデータを分析すると、衝撃的な事実が判明しました。
・最終回答到達率:約30%
・離脱箇所: メニュー選択画面や、フリーワード入力画面での離脱が多発
原因は「親切心」でした。「あれもこれもできます」と多機能なメニューを用意した結果、ユーザーは「自分の悩みはどのボタンを押せばいいのか」を判断できず、面倒になって画面を閉じていたのです。
「AIは導入した瞬間が完成形ではない」。この3割という現実を直視し、現場の利用実態に合わせて機能を削ぎ落とす決断が必要でした。
ユーザーの操作ログから「真のニーズ(住所コード検索)」を発掘し、UIを最適化したプロセス。
【改善前後のアプローチ比較】
1. ユーザーの行動
改善前(失敗): メニュー階層を行ったり来たりする
改善後(成功): 特定の数字(コード)を一発入力する
2. 提供した機能
改善前(失敗): 自然言語による「対話・会話」
改善後(成功): 住所コードによる「検索・出力」
3. クリック数
改善前(失敗): 回答まで平均5〜6タップ
改善後(成功): 回答まで3ステップ以内
4. UI設計思想
改善前(失敗): 網羅性(なんでも答える)
改善後(成功): 即時性(最短で出す)
なぜユーザーは離脱していたのか。その答えは、システムに残された「操作ログ」の中にありました。 分析の結果、一般利用者だけでなく、手続きに慣れているはずの事業者までもが、特定の画面で滞留していることが分かりました。それが「住所コード」の確認画面です。
ユーザーが求めていたのは、AIとの「おしゃべり」や「相談」ではありませんでした。申請書に必要な「住所コード」というデータを素早く引き出すことだけを求めていたのです。 この分析に基づき、フェーズ2ではトップ画面を大幅に刷新。
「対話」の要素を縮小し、「住所コード検索」をメインに据えるという、ある意味でAIらしくない「検索機」のようなUIへ変更しました。
UI変更の結果、利用率は劇的に向上し、現在では月間2.4万回の利用実績を誇ります。
しかし、これは一度の改修で達成されたものではありません。
現場担当者が持つべき最も重要な視点は、「AIは導入ではなく、育成が本質である」という考え方です。
フェーズ1(発見): ログデータから、ユーザーの「迷い」と「真の目的」を特定する。
フェーズ2(アクション): 仮説に基づき、メニュー構成や導線を大胆に変更する。
フェーズ3(最適化): 利用率が高い支局の成功パターン(勝ちUI)を、他拠点へ横展開する。
このサイクルを回し続けることでのみ、AIは「ただの置物」から「業務インフラ」へと進化します。
私たちのシステムには、失敗から学び、改善し続けるためのログ解析基盤と、それを支える運用サポート体制が組み込まれています。
Q1: ログ分析や改善活動には、現場担当者の専門知識が必要ですか?
A: いいえ、高度な知識は不要です。弊社側でログの解析から具体的な改善案(UI変更案)の提示まで伴走します。定例会を通じて「次はここを直しましょう」と提案するため、担当者様は意思決定を行っていただくだけで、負担なく「育成」を進められます。
Q2: 改善を繰り返すと、運用コストが跳ね上がりませんか?
A: クラウド型のサブスクリプションモデルであれば、基本的な設定変更やUI改善は月額費用内で対応可能なケースが大半です。むしろ、使われないシステムを放置する「機会損失コスト」の方が経営的なリスクとなります。
AIサイネージの導入効果が出ない原因の9割は、機能不足ではなく「ユーザーのニーズとのミスマッチ」です。 「設置して終わり」にしない、データに基づいた確実な改善運用をご希望の方は、ぜひ一度ご相談ください。貴社の現状のログ診断から、具体的な改善プランをご提案します。
AIさくらさん(澁谷さくら)
ChatGPTや生成AIなど最新AI技術で、DX推進チームを柔軟にサポート。5分野のAI関連特許、品質保証・クラウドセキュリティISOなどで高品質を約束します。御社の業務内容に合わせて短期間で独自カスタマイズ・個別チューニングしたサービスを納品。登録・チューニングは完全自動対応で、運用時のメンテナンスにも手間が一切かかりません。