



午前の外来がいちばん慌ただしい時間帯。
診察室の前には順番を待つ患者さんが並び、そのすぐ横で、受付の電話が何度も何度も鳴り続けています。
「予約の変更をしたいんですが」
「今日の診察、何時までやっていますか」
「検査結果は、いつ聞きに行けばいいですか」
クリニックや医療のお客様との打ち合わせの中で、私たちは何度も、同じような言葉を聞いてきました。
「外来のピークと、電話のピークがきれいに重なってしまうんです」
「目の前の患者さんを優先したいのに、電話に出ないと“全然つながらない”と書かれそうで怖い」
「受付スタッフが強い口調の電話やクレームを何本も受けて、だんだん元気がなくなっていくのを見るのがつらい」
電話に出られなければ、「なかなかつながらないクリニック」という不満になります。
電話を優先すれば、今そこで待っている患者さんを、さらに待たせてしまうことになる。
誰も悪くないのに、誰かがいつも「申し訳なさ」を抱えてしまう。
そんな、静かな消耗が、毎日のように積み重なっていました。
そこに追い打ちをかけるように、別の不安も顔を出します。
「うちは電子カルテが古いから、AIとか電話の自動化なんて、たぶん無理ですよね」
長く使い続けているオンプレミス型のカルテ。
院内ネットワークが閉じていて、外部システムとつなぐイメージが湧かない。
「AIで電話予約」と聞くたびに、カルテごと入れ替えるような大がかりな話を想像してしまい、
その時点でそっと心のシャッターを下ろしてしまう院長先生も少なくありません。
でも、現場から集まってきた一次情報を静かに見ていると、別の道が見えてきます。
カルテそのものには触れない。
その手前にある「電話予約」と「来院管理」だけを、AIに任せるという道です。
AIの導入相談で、最初の数分でよく出てくるのが、こんな言葉です。
「電子カルテとガッツリ連携しないと意味がないですよね」
「カルテ会社に話を持っていくのが重たくて、その前で止まってしまっています」
多くの医療機関が、「AI予約=電子カルテとの完全な自動連携」だと思い込んでいます。
ですが、実際に成果を出している現場は、少し違う発想で動いています。
電子カルテ本体には触らない。
AIさくらが扱うのは、予約に必要な最小限の情報だけ。
・電話番号
・診察券番号
・お名前
・希望日時や診療内容
こういった情報を、さくら側の「小さな電話帳」として持たせておく。
患者さんから電話が来たら、まずAIさくらが会話で内容を聞き取り、
「誰から」「どんな用件の予約・問い合わせがあったか」を整理して、スタッフに渡します。
スタッフは、それを見ながら、これまで通りカルテに入力していくだけです。
カルテを入れ替える必要はありません。
カルテと「ガチガチに」つなぐのではなく、その手前で予約と来院管理を完結させる。
そんな、現場寄りの現実的なやり方で、電話の一次対応の大半をAIに預けているクリニックが増えています。
「カルテが古いからできない」のではなく、
「カルテには触らずに、どこまでAIに任せられるか」を考える。
この記事は、その前提から始まります。
ここで、実際の流れを、できるだけシンプルに描いてみます。
ある平日の午前。
外来が始まり、受付も診察室も慌ただしく動いている時間帯に、一本の電話がかかってきます。
「もしもし、○○クリニックさんですか。インフルエンザの予防接種を予約したいのですが」
この電話を、まずAIが受けます。
患者さんは、いつも受付で話すように、そのまま言葉にするだけです。
AIは、落ち着いた声でこう返します。
「はい、○○クリニックです。インフルエンザのご予約ですね。
お名前と診察券番号を教えていただけますか?」
会話の中で、名前・診察券番号・希望日・午前か午後か・年齢など、
クリニックごとに決めた「聞くべき項目」をていねいに拾っていきます。
会話が終わる頃には、AIの画面には、こうした情報が整理された状態で並びます。
・患者さんの識別に必要な情報
・希望する内容(新規予約なのか、変更なのか、キャンセルなのか)
・いつ、どの枠に入れてほしいのか
受付スタッフは、落ち着いたタイミングでその一覧を確認し、
空き枠を見ながらカルテ側の予約枠に登録していきます。
「今までは、電話の呼び出し音が鳴るたびに手を止めていたけれど、
今は“まとめて確認して、まとめて登録する”に変わりました」
そう話す事務長さんもいました。
ある医療機関では、AIが受けた電話の内容をきっかけに、
「どんな電話が、何件、どの時間帯に集中しているのか」が可視化されました。
それまで感覚でしか語れなかった「忙しさ」が、ログとして数字で見えるようになったことで、
診療時間の見直しや、ホームページの案内改善など、
根本的な見直しへとつながっていったケースもあります。
AIがしているのは、誤解なく、感情に引きずられずに、同じクオリティで聞き取り続けること。
その単純で膨大な仕事を、24時間ずっと引き受けてくれる“同僚”が一人増えた。
現場で起きているのは、まずその変化です。
電話をAIに預けたクリニックや医療機関からは、こんな変化の声が届いています。
「以前は電話に出られないことも多く、対応漏れが当たり前のように起きていました。
今は、今まで諦めていた電話にも応答できるようになりました」
「どんな電話が、どれくらい来ているのかを把握できていなかったのですが、
AIさくらが記録してくれるおかげで、院内で共有しやすくなりました」
電話クレームに悩んでいたある組織では、
スタッフが強い口調の電話を直接受けることが減り、精神的な疲労感が目に見えて下がっていきました。
「まずAIが入口に立ってくれることで、
冷静に話してくださる方だけ、人が対応する形に近づいてきました。
“怒られに行く仕事”のように感じていた時間が減ってきています」
電話の一次対応をAIに任せることで、
スタッフが「本来の仕事」に戻れる時間が増えていきます。
・診察室で、もう一言だけ丁寧に説明する時間
・受付で、患者さんの不安をきちんと受け止める時間
・医師や看護師と、少し先の体制を相談する時間
電話の向こう側で受け止めたかった「優しさ」が、
対面でちゃんと届くようになっていく。
一方で、「変わらない」ものもあります。
・診察の最終判断をするのは、これまで通り、医師です
・難しいケースに寄り添い、言葉を選びながら伝えるのは、人の役割です
・AIが答えきれない場面で、最後に責任を持って出ていくのも、人です
AIは、あなたの仕事を奪うために生まれたわけではありません。
怒鳴り声や同じ質問の繰り返しという“矢”を、まず自分のところで受け止め、
あなたには、人間にしかできない仕事に専念してほしい。
そんな「防弾ガラス」のような役割を目指しています。
ここまで読まれて、「それってIVRと何が違うの?」と思われたかもしれません。
昔からあるIVRは、
「ご用件に応じてボタンを押してください。予約は1番、検査結果は2番…」
といった、選択肢を番号で選ばせる仕組みです。
もちろん、それが合っている場面もたくさんあります。
一方で、クリニックや病院では、こんな声も多く聞こえてきました。
「高齢の患者さんが多くて、そもそもボタン操作でつまずいてしまう」
「番号を聞いているうちに、どれが自分の用件だったか分からなくなってしまう」
「“機械に回された”と感じてしまい、冷たい印象になることが心配」
例えばAIさくらは、ボタンを押させることが目的ではありません。
患者さんが、受付の窓口で話すように、自然な言葉で話しかけられる存在であることを大切にしています。
「○月○日の午後で、空いている時間はありますか」
「子どもの発熱で、今日診てもらえるか確認したいのですが」
こういった言い方を、そのまま受け止めます。
途中で言い直したり、「やっぱり午前に変えたいです」と話を戻したりしても大丈夫です。
「ボタンが押せる人だけが、予約にたどり着ける」仕組みから、
「話せる人なら誰でも、予約にたどり着ける」仕組みへ。
人の優しさがきちんと届くように、
AIの側を人に近づけていく。
それが、AIさくらさんがIVRではなく、「話しかけられる同僚」でありたいと思う理由です。
AIさくらさん(澁谷さくら)
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