



人間ドックの予約電話が厄介なのは、一本あたりの会話が長くなりやすく、しかも「条件が細かく違う」からです。
コースの種類、オプション検査の有無、胃カメラかバリウムか、会社の健保での補助の有無、受診可能な曜日の制限。
さらに、人間ドック特有の要素として、問診票の記入方法、検査キット(便検査など)の受け取りや返送方法、前日の食事制限・服薬調整の説明も絡んできます。
そのやり取りが、外来のピークと重なります。たいてい次のタイミングに集中します。
診療開始前後に「今日、空いていませんか」という直前予約
午前外来の終わりがけに「午後の枠は空いているか」確認
昼休み前後に、企業健診担当者からの一括予約や日程変更
夕方に「今度の健診の内容を確認したい」という不安解消の電話
その時間帯、受付は目の前の患者対応、会計、レセプト準備、紹介状や診断書の受付も抱えています。
そこに人間ドックの予約・変更・確認が重なるので、「電話を取り切れない時間帯」が必ず生まれます。
結果として、
呼び出し音が鳴り続けて取れない
ようやく出ると、すでに相手は不機嫌気味
説明は本来ていねいにしたいが、外来も詰まっていて早口になる
説明漏れや予約ミスが起き、後日のクレームや「聞いていない」につながる
という流れになりがちです。
人手不足と言いつつ、実態としては「人間ドックの予約電話に、先生とスタッフの時間と気力が削られている」というケースも少なくありません。
「人間ドック AI」と聞くと、多くの先生は画像診断AI(CTやMRIの読影支援)を思い浮かべると思います。
AIの活用は大きく分けると、診断を支えるAIと、受付や予約を支えるAIの二つがあります。
ここで扱うのは後者、つまり「人間ドックの予約・変更・事前案内を、AIが電話で受ける」部分です。
診断の中身ではなく、「予約と受付の負荷」を現実的に下げる領域に絞ります。
イメージとしてはこうです。
受診者が、今まで通り人間ドック用の電話番号にかける
最初にAIが出て、「人間ドックの予約か、変更か、内容の確認か」を聞き分ける
決まっているルールに沿って、日程とコース、オプション、健保の区分などを順番に聞き取る
問診票や検査キット、当日の持ち物、食事制限など、事前案内を自動で説明する
最後に予約内容を復唱して、そのまま確定させるか、「人の確認待ち」にするかを分ける
ここで一番効いてくるのは、「同じ時間帯に何件電話が重なっても、とりあえず全件AIが出られる」ことです。
午前のピークに五件同時に電話が鳴っても、全員に対して「すぐ応答」ができます。
「診療時間内なのに全然つながらない」という不満は、それだけでかなり減ります。
そしてもう一つ大きいのが、「人間ドックに関する電話が、どの曜日・どの時間帯に、どんな内容で、どれだけ来ているか」がデータで見えるようになることです。
今までは受付の感覚に頼るしかなかった部分が、数字として可視化されます。
クリニック側から見た変化は、大きく三つに整理できます。
一つ目は、「電話に追われる時間帯」が短くなることです。
同時に複数の電話が鳴っても、まずAIが一次対応するので、受付が「どの電話に先に出るか」で焦る時間が減ります。
人間ドックの予約・変更・内容確認のうち、パターン化できる会話をAIに押し出すことで、「本当に今、人で受けるべき電話」だけに集中しやすくなります。
二つ目は、先生自身の負担が間接的に下がることです。
人間ドックのコース内容や事前説明を、毎回スタッフに細かくレクチャーしなくても、AIのシナリオ側にルールとして落としておけます。
季節による検査枠の調整や、企業健診のピーク時期の対応なども、データを見ながら相談できるようになるので、「いつも感覚で調整している」状態から一歩抜け出せます。
三つ目は、受診者側の体験が安定することです。
「電話がつながったかどうか」「出た人によって説明が微妙に違う」といったブレが減り、問診票の不備や当日の準備漏れも減りやすくなります。
結果として、当日のドタキャンや検査順の入れ替えが減り、人間ドックの一日全体が回しやすくなります。
人間ドックに限らず、「特定の時期・時間帯に問い合わせ電話が集中し、本来業務が止まる」という現場では、すでにAIによる電話の一次対応が動き始めています。
例えば、茨城県潮来市では、観光イベント期間中に市役所への問い合わせ電話が殺到し、職員が電話対応だけで手一杯になる状況が課題になっていました。
対話型のAIを代表電話の前段に入れて実証したところ、あるイベント期間中に約五百三十件の電話のうち九割以上をAIが自動で回答し、例年二〜三人が張り付いていた電話対応要員を来庁者対応に回せた、という結果が出ています。
職員からは「精神的な余裕が生まれた」「電話に振り回されずに済むようになった」という声も出ています。
電話の内容は自治体と人間ドックで違いますが、構造は似ています。
特定の時期に集中する
質問内容のパターンはある程度決まっている
電話対応に人員が取られて、本来の業務(ここでは先生なら診療や判断業務)が圧迫される
この構造が同じである以上、「人でなくていい会話をAIが先に受け、人でないと困る会話に時間を残す」という考え方は、人間ドックの予約でもそのまま応用できます。
実際に「人間ドックの予約をAIに任せてみる」となった場合、いきなりすべてを置き換える必要はありません。
むしろ、最初はできるだけ小さく始めた方が現実的です。
最初に決めるべきことは三つだけです。
一つ目は、「どの時間帯の電話が一番つらいか」です。
午前外来の開始前、昼休み前後、夕方のどこなのか。
人間ドック専用番号にかかってくる電話と、代表電話に混ざってかかってくる人間ドック関連の電話の比率も、感覚でかまわないので整理しておきます。
二つ目は、「その時間帯に多い用件」です。
新規の人間ドック予約、日程変更、コースやオプションの変更、事前案内の確認。
大きく三つか四つにだけ分ければ十分です。
三つ目は、「ここだけは必ず人が見る」というラインです。
既往歴とコースの組み合わせの判断が必要なケース、強い不安や不信感を抱いている受診者からの電話、結果説明に近い相談などは、最初から人に回す前提にしておいた方が安全です。
この三つが決まると、
どの時間帯の、どの用件をAIが一次対応するか
AIが受けた内容を、人がどのタイミングで確認・修正するか
受診者に対して、どこまでAIで完結し、どこから「人が折り返します」と案内するか
といった設計が現実的なレベルで決めやすくなります。
人間ドックの電話予約をAIに任せる話をすると、ほとんどの先生から同じような疑問が出てきます。
「高齢の受診者は、AI相手にちゃんと話せるのか」という点については、最初の案内と選択肢の数がカギになります。
「〇〇クリニック健診センターです。人間ドックの予約・変更の方は、このままゆっくりお話しください。」という一言で始め、長いメニュー読み上げは避ける。
途中で操作に戸惑う方のために、「いつでもスタッフにおつなぎできます」とルートを残しておく。
この二つを徹底している医療機関では、高齢の方でも問題なく利用できているケースが多くなっています。
「AIが聞き間違えて、予約ミスやコース違いが起きないか」という不安に対しては、重要なところだけは必ず復唱する設計でかなり減らせます。
日付と時間帯、コース名、オプションの有無、健保区分、このあたりは必ず最後にまとめて読み上げ、受診者に確認してもらう。
導入初期の一〜二か月は、「AIが受けた予約はスタッフが全件チェックする期間」と割り切り、そこでパターンをつかみながら調整するやり方も現実的です。
「本当に元が取れるのか」という問いに対しては、ざっくり計算してみる価値があります。
例えば、人間ドック関連の電話が一日二十件、一本あたり平均五分かかっているとすると、単純計算で一日百分です。
そのうち半分をAIに任せられれば、一日約五十分、月二十日稼働なら約千分、つまり十六〜十七時間分のスタッフ時間が空きます。
この「電話に追われていた時間」を、レセプトチェックや窓口対応、院内の段取りに振り替えられるのであれば、単純な時給換算以上の価値が出ることも多くなります。
人間ドックの予約電話を、今まで通りすべて人で受け続けるのか。
パターン化できる予約や変更、事前案内だけでもAIに任せて、「電話に追い立てられる午前中」と「潰れがちな昼休み」を減らしていくのか。
どこから手を付けるかはそれぞれのクリニックで違いますが、「予約と変更」という限定された領域であれば、AIの導入ハードルは想像より高くありません。
すでに、電話が集中する自治体や医療機関では、AIが代表電話の一次対応を担い、「人でなくていい会話」を引き受け始めています。
実際の現場で、こうした電話の一次対応を支えているのが、医療機関や自治体で使われているAIさくらさんの電話対応のようなサービスです。
人間ドックの予約に特化したシナリオを組み、問診票や検査キットの案内、前日の注意事項なども含めてAI側に任せることで、先生とスタッフの時間と気力を、人にしかできない医療行為と受診者への対面説明に戻していくことができます。
「人間ドックの予約までAIに任せたら、自院はどう変わるか」。
そう感じた先生は、まず紙一枚で構いませんので、つらい時間帯と、多い用件、必ず人で受けたい電話だけを書き出してみてください。
そのメモをもとに、AIさくらさんのような医療機関向けのAI電話サービスに、「どこまでAIに任せるのが現実的か」「どんな始め方なら現場が混乱しないか」を一度相談してみる。
その程度の一歩からでも、人間ドックの予約に追われる一日は、確実に変わり始めます。
マッサージ店舗におけるAIの活用方法 | AI電話対応さくらさん
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