



結論から言うと、今のAIで現実的に任せるべき電話はだいたい三つに絞られます。
一つ目は、営業時間・場所・駐車場・混雑状況などの定型案内です。これは人が出る意味がほとんどありません。情報さえきちんと登録しておけば、AIが24時間ブレずに答え続けられます。
二つ目は、処方箋受付と「お薬できましたか?」などの状況確認の一次対応です。FAXや電子処方箋で届いた処方の有無、調剤の進捗を、AIがヒアリングしてシステムや管理画面と突き合わせながら回答します。後から薬剤師が最終確認できる形でメモを残しておけば、受付の手間をかなり削れます。
三つ目は、在庫確認や取り置きの一次受付です。「◯◯錠はありますか」「いつ入りますか」といった問いに対して、在庫マスタと連携できる範囲はAIが答え、それ以外は人に回す設計にすれば、レジや投薬中のスタッフが毎回電話口に走る回数を減らせます。
逆に、疑義照会、服薬指導、在宅対応の相談のように、薬剤師の判断や説明責任が絡む内容はAIに踏み込ませない前提にした方が安全です。ここをごちゃ混ぜにすると、一気にリスクが跳ね上がります。
調剤薬局の現場で、電話が厄介なのは「仕事の流れを全部止める」点です。調剤、投薬、薬歴入力、在宅準備など、どれも中断したくない作業ばかりですが、電話が鳴れば誰かが手を止めてレジから離れざるをえません。
特に、門前のクリニックと連携している薬局や、在宅をやっている薬局は、患者さん本人だけでなく、家族、訪問看護、ケアマネジャー、施設職員、クリニックからも電話が入ります。昼休みも電話で潰れて、まともに休めない局長も多いはずです。
実際、千葉県八千代市の浜野胃腸科外科医院では、診療時間や検査の案内、予約などの問い合わせが代表電話に集中し、スタッフの負担が大きかったため、AIによる自動応答で定型的な問い合わせを肩代わりさせています。
自治体の例ですが、茨城県潮来市役所では、AIが電話での住民問い合わせ約530件に自動応答し、回答率91.1%・電話対応負担約70%削減という結果が出ています。
業種は違っても、「鳴り止まない電話をAIで受けて、人は判断が必要な電話だけに絞る」という発想は、薬局もまったく同じです。
薬局の現場でイメージしやすいように、代表電話にAIを入れた場合の流れをシンプルに描きます。
患者さんや家族が代表番号に電話をかけると、まずAIが出ます。ここで「調剤の状況を知りたい」「薬の在庫を聞きたい」「営業時間を知りたい」「スタッフと話したい」といった用件を自然な会話で拾います。
調剤状況の確認であれば、名前や生年月日、処方箋の受付時間など最低限の情報だけ聞き取り、調剤システムと連携できる範囲で「まだ調剤中」「◯時ごろ仕上がる予定」といった案内をします。もし情報を取り違えると危険なレベルの会話に入りそうな場合は、その時点で「スタッフにつなぎます」とバトンを渡します。
在庫確認の場合は、「◯◯錠の△mgはありますか」という質問をそのまま文字に起こし、在庫マスタと突き合わせて回答します。後発品の候補を複数出すようなことはAIにさせず、「有無」と「いつ入る予定か」だけを答えさせる程度に留めておけば、トラブルを避けやすくなります。
営業時間や場所、駐車場、待ち時間の目安などの案内は、あらかじめ情報を登録しておけば、AIが24時間同じ説明をします。院外処方せんを受ける門前薬局であれば、近隣のクリニックの診療時間と絡めた案内もできます。
ここまでをAIに丸ごと投げるのではなく、「AIが一次受付をして、危ない内容・複雑な内容は人に回す」構造にすることが重要です。そのために、「どこまでならAIの回答で完結してよいか」を局長自身が決めておく必要があります。
薬局そのものの事例ではありませんが、構造が近いケースを見るとイメージがつきやすくなります。
先ほど触れた潮来市役所の電話窓口では、AIが市民からの電話約530件に自動応答し、約70%の電話対応を肩代わりしています。
内容としては、ごみ収集や手続きの案内など、パターン化しやすい問い合わせが中心です。薬局に置き換えると、「営業時間」「在庫の有無」「薬ができたかどうか」といった定型の電話をAIに寄せているイメージに近いと言えます。
医薬品系のプレーヤーで言えば、東邦ホールディングス株式会社では、月300件以上あった請求書問い合わせをAI電話が一次対応し、支払方法やサイトなどの定型質問を自動化しています。
卸レベルでここまで電話の自動化が進んでいる以上、現場の薬局が代表電話の一部をAIに任せるのは、時間の問題です。
医療機関側では、浜野胃腸科外科医院のように、代表電話の基本的な案内業務をAIに置き換える動きが出ています。
薬局側も、処方元のクリニックと連携して、同じように「人じゃなくてもいい質問」から順にAIに寄せていくのが、現実的な進め方になります。
ここを曖昧にすると、一番危ない部分です。
疑義照会は、処方医と薬剤師の責任の話です。AIが内容を勝手に解釈して「そのまま調剤して問題ありません」といった方向に誘導することは論外です。AIを使うとしても、せいぜい疑義の内容を整理して、薬剤師が医師に電話する前のメモを作る程度に留めるべきです。
服薬指導についても同じです。相互作用や副作用のリスクを伴う説明を、AIに任せるべきではありません。「開局時間になったら薬局から説明します」「お薬手帳を持って来局してください」といった“つなぎ”の案内までが限度です。
在宅や施設対応の相談も、基本的には人間の役割です。「在宅を始めたい」「施設での薬剤管理を相談したい」といった電話をAIが受けた場合は、連絡先と概要だけ聞き取って、「担当者から折り返します」と約束する程度に止めた方が安全です。
要するに、「法的責任が薬剤師にある領域」と「AIが案内レベルで済む領域」をしっかり分けることです。ここを整理しないまま、「AIが何でも答えてくれる窓口」にしてしまうのが、一番危険なパターンです。
最後に、実際にAIを導入する前に、局長として整理しておくべきポイントをまとめます。
一つ目は、電話内容の棚卸しです。直近1〜2週間分の電話を可能な範囲でメモして、「営業時間・場所」「処方箋受付・進捗確認」「在庫確認」「疑義照会」「服薬指導」「在宅・施設相談」「クレーム」などにざっくり分類します。この段階で、AIに寄せても問題なさそうな電話と、絶対に人が出るべき電話がだいたい見えてきます。
二つ目は、AIと人の切り替え条件です。例えば、「高齢の患者さんで、うまく伝えられていない様子が続くとき」「症状や副作用の話になったとき」「医療機関名や薬剤名を何度も聞き返すことになったとき」など、AIが対応を続けると危なそうなパターンを、現場の薬剤師と一緒に洗い出しておきます。
三つ目は、導入後の“手直し期間”を決めておくことです。最初の1か月は、AIが受けた電話のログを定期的に確認し、「ここは説明が長すぎる」「この言い回しは患者さんが理解しにくい」といったポイントを潰します。潮来市や長浜市の事例でも、AI電話の効果は運用のチューニングによって大きく変わっていることが示されています。
ここまで決めておけば、あとは医療機関向けのAI電話サービス(代表電話の一次対応に実績があるサービス)に対して、「うちの薬局ではこの範囲をAIに任せたい」と条件を出して比較するだけです。
薬局でAIを使う目的は、単純に人を減らすことではなく、「調剤と投薬に集中できる環境を取り戻すこと」です。受付に出るたびに中断される仕事を減らし、昼休みぐらいはきちんと休めるようにする。そのために、AIに任せてよい電話だけをきれいに切り出していく、という発想が必要です。
まずは、自局の電話内容を分類し、「AIに任せる」「必ず人が出る」を線引きする。次に、AIと人の切り替え条件を決める。最後に、導入後1か月はログを見ながら手直しを続ける。この三つをやれば、「AIを入れたけれど現場が混乱した」という失敗パターンはかなり避けられます。
そのうえで、医療や自治体、コールセンターなどで実績のあるAI電話サービス(AIさくらさんのように医療案件や自治体電話で使われているタイプ)を候補にし、「自分たちの薬局で具体的にどの電話を任せるか」という前提でデモを見ると、検討の精度が一気に上がります。
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