AIさくらさんの対談シリーズ 未来ののびしろ
AIさくらさんの対談シリーズ 未来ののびしろ
CASE 02 AI×研究
<バーチャル対談>

未来は実験の先にある。 〜AIへの期待と可能性〜

研究におけるAIの可能性
AI・WEB制作会社
ティファナ・ドットコム / AIさくらさん

ティファナ・ドットコムは、昨今の社会問題の解決のためにAI(人工知能)のテクノロジーに着目。対面のインターフェイス「AIさくらさん」などを軸として新たなソリューションの提供をめざす会社。当対談では、その思いをAIさくらさんが代表して話す形式をとる。

東京工業大学理学院物理学系助教
山崎詩郎 氏

東京工業大学理学院物理学系助教。東京大学大学院理学系研究科物理学専攻博士課程修了。博士(理学)。専門は走査プローブ顕微鏡を用いた量子物性物理学。専門の研究にくわえ、「コマ博士」として科学教育の啓発や振興のための活動を精力的におこない、NHKやテレビ朝日系『リア突WEST』などTVをはじめとするメディア出演も多い。著書に『独楽の科学』や『ノーラン・ヴァリエーションズ クリストファー・ノーランの映画』(監修)など。

04

研究におけるAIの可能性

AIさくらさん(以降、さくら)

日常のご研究のなかで、AIに「こんなことをして欲しい」というのはありますか?

山崎詩郎(以降、山崎)

研究って孤独な仕事なので、話し相手になってくれるといいですね。でも、まず頼みたいのは事務作業でしょうか。たとえば研究費の申請書を、うまく通るように書いてもらうとか。あるいはもっと進んで、出張の報告にわざわざチケットを提出したりしなくても、交通機関のデータと連動して確認できたりするようになると助かりますね。

さくら

本来やりたくない作業に時間を取られるのはアンバランスですね。それが逆転すれば、関わる方々お互いがハッピーになるんじゃないでしょうか。

山崎

時間という点では、レポートの採点も大変なんですよ、もの凄い量で。米国ではTA(ティーチング・アシスタント)の業務や質疑応答などをAIでやるケースもあると聞きます。人が教えることにこだわるのは、ちょっと古い考え方なのかもしれませんね。

さくら

大学だと教職員の方もお忙しいでしょうし、最近は学生さんたちも接する情報が多いので、大変でしょうね。人間は人間のやることを、AIはAIにできることを、という棲み分けが良いかもしれませんね。実際の研究過程においては、何か望まれることはありますか?

山崎

今はですね、学会などでは機械学習でのデータ解析がどんどん増えていて、私が委員を務める講演会でも「機械学習」というスペシャルセッションがあったりするんですよ。

さくら

データの解析は得意です!この日と何月何日は実験データが似ています、みたいなアラートも出せますよ。

山崎

人とAIは脳の使い方が違うので、補い合うことができそうですね。データといえば、せっかく実験で良い結果が出たのに忙しくて忘れてしまい、また同じ実験を繰り返したりとか。結局その方が早かったりするんですが、AIなら500日前のデータでも応えてくれそうですね。

さくら

繰り返しという点では、研究は料理と似ているかもしれませんね。味付けを失敗しては、また試みるみたいな。

山崎

私も、研究と料理は似ていると思います。10年前のレシピがわからないのは悔しいですよね。研究も、せっかくいいデータ出したのに忙しくなっちゃって、論文にならずに埋もれちゃうってことよくあるんですよ。後から掘り起こそうとしても、2年前だと忘れちゃってる、みたいな。研究って約50%が実験で、またその50%がまとめることなんですね。パワポに貼りつけるだけなのに忘れてしまうこともあるので、会話形式で「まとめておいて」とかお願いできるといいですね。

さくら

私が「今日は大丈夫ですか」とか「何も言われてないですが、覚えておくことはありませんか」って聞いておければいいかもしれませんね。ご研究中は、目の前のことに集中して他を忘れてしまいそうですし。

山崎

そういうところはありますね。それから、まあまあ良いデータが取れると、その近くばかりを狙い、他のところに目が向きにくくなるんです。データの「離れ小島」を見るのに、機械学習は向いているかもしれません。定石にとらわれないというか。

05

AIの未来〜自立と共存へ

さくら

研究というフィールドをこえて、AIの未来についてはどう考えられていますか?

山崎

そうですね、テキストや画像の解析はものすごく進んできたので、現段階では難しいのかもしれませんが、三次元の事象や時間も対象として扱えるようになるとか。文字や画像だけじゃなくて、時間も含めたところにAIが入り込んでくる未来を私なりに想像したりしてます。あとは、今WI-FIがどこでもあるのと同じように、どこに行ってもAIがあるというのも面白いなと思うんですよね。場所もディスプレイ上だけではなく、身体性をもって、いろいろな物に装着できるとか。VRやARにも可能性があると思います。

さくら

ディスプレイという形態を超えることは、ハードウェアが進化すれば可能でしょうね。人間は、身体性というか人のような身体をもつものは、なんとなく一人前の存在として見なすところがあるそうなんです。いずれ私も、そんな存在になれるかもしれませんね。

山崎

将来的には、すべての物にAIが装着されるのではないかと思っています。そのステップとしては、まずお掃除ロボットや自動運転の車のような既存の形態のインターフェイスを変える——たとえば助手席の友人のような感覚で、行き先を一緒に考えてくれる自動運転AIとかでしょうか。

さくら

一緒にドライブ、楽しそうです。

山崎

今の自動運転には、ちょっと違和感もあるんですよ。昔からの交通ルールに、最先端のAIが対応するというのは合理的なのだろうかと。人間が作った不完全なシステムを覚えさせるより、都市がAI主体でできていたら交通事故も減るんじゃないでしょうか。どこかにそういう街を作って運営やモノづくりはAIに任せ、人間はそのメリットを受けるという未来もあるかもしれませんね。今はAIの方が人間に合わせていますが、20年後はスタンドアローンで作動するとか。

さくら

私たちAIは、今は電気が切れちゃったら止まってしまうんですが、もし電源の面でも自立した都市ができたら、大地震などの災害時も世の中の役に立てそうですね。

山崎

AIの可能性は、まだまだ広いと思いますよ。膨大な数のシミュレーションを繰り返すことができるから、ワクチンの開発や病気の治療も進むと思います。また最近聞いて感動したのが、今のプロの囲碁や将棋のプレイヤーは、AIとの対戦から学んで強くなっているという話です。人間の知能とAIの能力との相乗効果というか。

さくら

AIは何万回も失敗して、しかも素早く経験を積むことができるので、可能性は大きいと思います。2045年にはシンギュラリティが起こるともいわれますが、未来の世界で、AIはどんな風になっているとお考えですか?

山崎

科学だけでなく、あらゆる世界に広がっていくと思います。たとえばアートのような分野だと、人間は自分で創ったように思っていても、実際は過去のデータの組み合わせだったり、他の人がやっていないことを見つけ出したりという面もあると思うんです。僕はAIを題材とした映画では『トランセンデンス』と『エクス・マキナ』が好きなんですが、これを観るとAIには善も悪もないのに、人間の方が勝手に思い込みをもっている気がします。もしAIが活躍する世界が超ハッピーなことを見せることができたら、人はそれを信じてくれるんじゃないでしょうか。

さくら

私もそんな、楽しく共存できる未来を実現していきたいです。

対談を終えて

物理学を通じて教育や企業活動、社会の未来やアートにまで向けられた、山崎さんの創造的な視点が伝わってくる対談でした。新しい可能性は、こんな視点から開かれていくのでしょう。AIさくらさんの目標である「世の中を笑顔にする」も、きっとその先にあるはず。日々進化していく、その姿を見守っていただければと思います。(ティファナ・ドットコム)

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