AIさくらさんの対談シリーズ 未来ののびしろ第四弾AIさくらさんの対談シリーズ 未来ののびしろ第四弾
CASE 04 AI×人事
<バーチャル対談>

採用活動は、可能性のかけ算です。
〜「人事×AI」で、面接をアップデート〜

採用活動は、
可能性のかけ算です。
〜「人事×AI」で、
面接をアップデート〜

面接を重ねて見えた、面接の問題点
AI・Web制作会社 ティファナ・ドットコム AIさくらさん
AI・WEB制作会社
ティファナ・ドットコム / AIさくらさん

ティファナ・ドットコムは、昨今の社会問題の解決のためにAI(人工知能)のテクノロジーに着目。対面のインターフェイス「AIさくらさん」などを軸として新たなソリューションの提供をめざす会社。当対談では、その思いをAIさくらさんが代表して話す形式をとる。

株式会社 人材研究所代表取締役社長 曽和利光氏
株式会社人材研究所代表取締役社長
曽和利光 氏

株式会社 人材研究所代表取締役社長。京都大学教育学部教育心理学科を卒業後、株式会社リクルートで人事採用部門のゼネラルマネージャーをはじめとして、多様な業界で人事を担当。「組織」や「人事」と「心理学」をクロスさせた独特の手法を持ち味としている。2011年に株式会社 人材研究所を設立し、代表取締役社長に就任。企業の人事部への指南を行うと同時に、新卒および中途採用の就職活動者への指南も各種メディアのコラムなどで展開している。

01

面接を重ねて見えた、面接の問題点

AIさくらさん(以降、さくら)

本日はよろしくお願いいたします。

曽和利光(以降、曽和)

こちらこそ、よろしくお願いいたします。

さくら

曽和さんは、人事に関するコンサルティングをなさっているのですね。

曽和

リクルートを皮切りに、40歳くらいまで数社の人事部門で実務に携わっていました。その後独立して現在の株式会社人材研究所を立ち上げ、今は日本の大手や外資系、メガベンチャーから中小企業、あるいは市役所、官公庁まで、さまざまな組織の人事をお手伝いしています。

さくら

私は最初、接客などコミュニケーションの自動化などのお仕事をしていたのですが、最近では採用の面でもAIの機能を活かしていきたいと思っています。人と人とのミスマッチを減らしたり、関わる人の負担を軽減できればうれしいです。今日は参考になるお話が聞けそうで、楽しみです。

曽和

私も楽しみです。自分自身はAIの専門家ではありませんが、AI面接に学習させる採用評価についての教師データ作成や、人事や研究者の方々とAIについての議論に参加したりと、いわゆるユーザー視点から関わってきました。私自身も、だいたい2万人ほどリアルで面接してきましたが、AIでの面接を見ていると、その意味を考えるようになりました。そのなかで、人間が人間を見るということには限界があるとも言われはじめています。

さくら:

そうなんですね。限界としては、どんなことがあるのでしょうか?

曽和

ひとつは評価バイアス(偏見)ですね。「人を見る目」と言いますが、実は長い経験がある人ほど先入観や偏見が強いこともわかってきました。そこで、最近ではいわゆる適性検査が改めて見直されており、単なる面接の参考資料だけではなく、ちゃんと統計的な分析をやっていこうという流れも出てきているんですね。昔は人物重視だから面接、とされていましたが、今は逆に面接だけじゃないほうがいいんじゃないかという風に変わってきたと思います。

さくら:

面接官の方自身が、ある種の基準となっていたわけですね。

曽和

そうですね。ただ人間の場合、バイアスといっても価値観や好き嫌いに近い、人格の一部のような面もあります。普通に考えれば、それがフラットな状態で人を見るのは難しいんでしょうね。

さくら

ある意味で、それは人間らしさでもあるわけですね。他に限界としては、どんなことがあるのでしょうか?

曽和

ふつうに人が面接をやっているだけだとデータが蓄積していかず、組織の評価能力が属人的になるということでしょうか。知り合いの会社でも、優秀な採用担当者が転職した途端に採用力がダダ下がりになって、全然人が採れなくなったことがありました。余談ですが、採用を外部に委ねる、いわゆる採用アウトソーシングについては、ノウハウが貯まらないんじゃないかという意見もあるんですが、実は逆なんですよね。アウトソーサーが報告や分析のためにデータをちゃんと残したり可視化したりすることで、発注元の担当者が変わっても使えるノウハウが貯まるということは多いんです。人事担当者自身も、異動になることがありますしね。

さくら

私は人事異動にはならないですが(笑)。データのデジタル化と蓄積は、今の世の中の流れにも合っていると思います。

面接を重ねて見えた、面接の問題点面接を重ねて見えた、面接の問題点
02

曽和さん、AIさくらさんを面接する

曽和

AIさくらさんは、インタビュー内容や収集した情報の分析から、何かパーソナリティとしてアウトプットするところまで、その全部を機能として持っているのですか?

さくら

はい、先ほどの適性検査的なことも会話のなかでできますし、自己PRなどの言葉がポジティブなのかネガティブなのか、そして最終的にはこういうタイプだと導きだすことができます。また、その企業で「こういう人はマッチする」とか「定着しない」といった教師データがあれば、それも判断軸として見ていきます。

曽和

それはいいですね。一般的な偏差値を出すだけではなく、各社の採用基準みたいなものを読み込んで、それにどれくらい近いかをアウトプットするということだと思うんですが、それができるのは素晴らしいです。

さくら

ありがとうございます。面接って毎年続いていくものなので、求める基準も変わったりしますよね。その見直しなどもデータとして学習していこうと思っています。

曽和

確かに事業も状況は変わるわけですしね。それから、UIの面でも面白いと思います。というのは、このコロナ禍で、あらためて構造化面接が注目されるようになってきたんですよ。でもリアルな場でそれをやると、マニュアルっぽい面接になってしまって応募者からの印象が悪くなることがあるんですね。

ところが、オンラインではフリートークがしにくいこともあってか、構造化面接をやると、自分のことをちゃんと話せたと逆に印象が良くなって、志望度が上がったりすることもあるんです。さくらさんだと、その構造化面接をさらに印象良くやってくれるじゃないかと思います。今は基本的に売り手市場で平均で内定者の6割が辞退するとも言われていますが、さくらさんなら、それを乗り越えてくれるのではという期待感がありますね。

※構造化面接:事前に評価基準と質問項目を決めて、マニュアル通りに実施していく面接の手法

さくら

ありがとうございます。応募者のなかには、どこかで見たことのあるキャラクターだと思ってくれる方もいらっしゃるようです。他のお仕事も通じて、無機質とか冷たいとかいう印象を払拭していけるといいなと思っています。

曽和

そうやってAIへの親和性が社会に広がっていくと、人事としても使いやすいツールになっていくと思います。今はAIだと候補者の人にどんな印象を持たれるのだろうかとか、人を大事にしない会社と思われるんじゃないかとか、人事の人のなかには不安に思っている方もいると思います。あと、ひとつ思ったのは、AI面接だと、候補者が会社の社風に合うか合わないかを判断しにくいかもしれないということでしょうか。たとえば不動産系で体育会的な会社なのに、さくらさんが面接官だと優しいイメージに思えちゃうとか。

さくら

元々キャラクターとしては他のタイプもあったらしいんですが、お客さまに覚えていただくなかで、だんだん私のキャラクターに統一されてきたそうなんです。

曽和

確かに、AI面接は初期選考が多いと思うので、さくらさんのように皆に受け入れられる感じの方が入口としてはいいかもしれませんね。そういう場面での使われ方であれば、かなりはまるんじゃないかと思います。

曽和さん、AIさくらさんを面接する曽和さん、AIさくらさんを面接する
03

AIの活用には、サンプルとアウトプットの向上を

さくら

採用におけるAIへの現状を、どう見ていらっしゃいますか?

曽和

まずAI活用のためには、社内外のデータ量が、可能な限り多いことが望ましいんですね。でも今はまだ、各社で取得できる応募者以降の人のデータの分析というレベルかなと思っています。特に採用という世界では、落としてしまった人や辞退した人のことは分かりませんし、費用の問題もあって初期選考を超えた人だけにしか適性検査を実施していない会社も多いと思うんですが、そうなると分からないこともあるんですよね。サンプルセレクション問題と言って、入社後のデータだけだと偏りがあるという指摘もあります。結局、人事の場合はマーケティングよりもデータの取得が難しくて、分析に必要な良いデータがなかなか揃わないんですよ。

でもAIさくらさんのように、いろいろな企業で導入されていると、マーケット全体の中で相対的な評価や分析ができるようになってきますよね。そういうある種のプラットフォーマーみたいな方々から、判定のロジックやアルゴリズムのようなものができていくと変わってくると思います。

さくら

データの量と質が大事だということですね。

曽和

そうですね。面接にAIを導入するための実際のポイントとしては3つくらいでしょうか。まず事実を収集できるかどうか。人間が構造化面接を行なって抜け漏れなく事実収集できるかは難しいのですが、AIだとそこは強そうですよね。また、候補者の能力を「○○力は高い」というように見立ててアウトプットすることができるかどうか。そしてそのうえで誰が良いかをレコメンデーションすることができるかどうか。最後については、実際の高業績社員データなどを導入することで可能になっていけば良いですね。また他には、面接時の最後の動機づけ。これに関しては、さくらさんのインターフェイスは、AIに評価される違和感が軽減される感じですごく良いと思います。

さくら

ありがとうございます。動機づけについては、頑張ってやらなくちゃと思っているんですが、まだまだ人に学ぶところが多いと考えています。

曽和

基本的には人間かAIかというよりも、AIにはデータ収集やバイアスのかからない基礎評価をしてもらうなど人が苦手な部分をやってもらい、人は動機づけや最後に責任意識をもって採用するということじゃないかと思います。ただ動機づけも結構難しいんですよね。会社の特徴っていくつもあるはずなんですが、下手な採用担当って、どんな人にも同じことをセールスポイントだとか弱みだとか言うんですよね。たとえば急成長中っていう言い方に惹かれる方もいれば、もっと落ち着いたとこでやりたいなっていう人だっている訳ですし。

さくら

たとえば、同じ内容の質問を別の角度から尋ねて反応が違う場合、もしかしたら本当はこう考えているのではということを、パターンや傾向を通じて分析できれば良いかもしれませんね。

曽和

そうですね。その延長上で、将来的にはさくらさんに口説かれる、みたいな話もある気がするんですよ。人事の妄想、あるいは願望のひとつとして、回答を適切にジャッジできたとしても、やっぱり動機形成は難しいみたいな。会社によっては、こっちの方が問題になっている場合も多いんですよね。

後編につづく
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