



クリニックのカスタマーハラスメント(カスハラ)は、件数の多さ以上に、一件あたりの心理的ダメージが大きいことが特徴です。
予約が取れなかったことへの強いクレーム、待ち時間への執拗な不満、責任者の呼び出しや名前の要求などが、一つの代表電話に集中してかかってきます。
小規模なクリニックほど、こうした電話を受けるのは、新人の受付スタッフやパートタイムのスタッフ、その時間帯にたまたま一人で入っていたスタッフになりがちです。
院長としては守りたい相手ですが、自身は診療で手が離せず、その場でフォローしきれないことも少なくありません。
その結果、「受付に過度な負担が集中しているが、構造は変えられていない」という状態が常態化します。
この前提が変わらない限り、スタッフを入れ替えても、同じことが繰り返されます。
大規模コールセンター向けの高度な感情分析システムを入れる必要はありません。
クリニックで現実的なのは、「代表電話の一次受けをAIに任せる」というシンプルな設計です。
多くのクリニックでは、電話が鳴けば必ず受付が出て、相手や内容にかかわらず、最初から最後まで人が対応しています。
診療時間や場所の確認といった定型的な質問も、待ち時間への強いクレームも、すべて同じ窓口で受け止めている状態です。
ここにAIを一枚挟むと、流れを分けられます。
電話が鳴ると、まずAIが用件を確認し、診療時間やアクセス、休診日、検査の流れなど、あらかじめ決めておける質問については、そのままAIが最後まで案内します。
一方で、要求が強いクレームや、医師の判断が必要な内容については、人に引き継ぐ前提で設計します。
受付スタッフから見ると、「どの電話でも、いきなり理不尽な要求が飛んでくる可能性がある」という状況から、「AIが内容をふるいにかけたうえで、必要な電話だけが回ってくる」状況に変わります。
この違いは、心理的な負担と、常に感じている緊張状態を大きく左右します。
すでに、クリニックでAIを受付や電話に活用している事例が出てきています。
新橋トラストクリニックでは、受付サイネージ型のAIを導入し、受付案内や自動応答といった患者対応をAIが担っています。
診療時間や場所の案内など、定型的な問い合わせをAIが代わりに受けることで、年間約200時間の業務削減を見込んでおり、受付スタッフは来院対応と現場運営に集中できるようになりました。
千葉県八千代市の浜野胃腸科外科医院では、「AI電話対応さくらさん(医療向け)」に相当する構成で、診療時間や検査、内視鏡検査の説明・予約など、代表電話に来る問い合わせをAIで一次対応しています。
電話の入口でAIが要件を整理してくれるため、医療スタッフは診療と院内業務に集中しやすい環境を整えています。
どちらの事例も、「人を減らすこと」ではなく、「人が本来の仕事に集中できるようにすること」を目的にしています。
クリニックの規模や診療科が違っても、「定型的な問い合わせはAIが受け、判断が必要な部分は人が対応する」という考え方はそのまま応用できます。
AIを電話の入口に置くことで、カスハラ電話への対処は三つのレイヤーで設計できます。
一つ目は、入口での防御です。
まずAIが電話を受けることで、相手の言葉遣いやトーンも含めて記録が残り、そのうえで人に回すかどうかをコントロールできます。
これにより、受付がいきなり強い言葉を浴びるケースを、構造として減らすことができます。
二つ目は、事後的にスタッフを守るための証拠です。
どのような言葉を投げかけられ、スタッフがどう応対したのかが録音とテキストで残るため、院長がスタッフを守る際の客観的な根拠になります。
スタッフ側の対応に改善点があるのか、相手の態度に問題があるのかを、感情論ではなく事実で切り分けられるようになります。
三つ目は、ルールに基づくストッパーです。
あらかじめ、暴言や脅しに該当する表現の例と対応方針を整理し、「このレベルに達したら通話を終了する」「このパターンの要求は院長が折り返し対応する」といった運用ルールを決めておきます。
これによって、「どこまで対応するか」を受付スタッフ個人の経験や気合いに委ねるのではなく、組織としてのラインを明確にすることができます。
ワンオペ受付のクリニックが、いきなりすべての電話をAIに任せる必要はありません。
現実的には、負担を増やさず導入できる順番を踏んでいくことが重要です。
最初のステップは、「よくある質問」をAIに任せることです。
診療時間、休診日、アクセス、代表的な診療・検査の流れなど、回答内容が決まっている問い合わせだけを対象にします。
これだけでも、受付が同じ説明を何度も繰り返す時間を大きく減らせます。
次のステップとして、予約変更やキャンセルの一次受付をAIに寄せます。
患者さんからの希望(変更かキャンセルか、希望日や時間帯など)をAIが聞き取り、内容を整理してスタッフに渡す形にすれば、人は最終調整と判断に集中できます。
ここまで進むと、「昼休みや診療後にたまってしまう電話」をAIが先に受けてくれるため、受付の残業や精神的な疲労も下がっていきます。
最後に、AIが残したログを基に、カスハラに対する運用ルールを整えます。
どの程度の言い方を許容範囲とし、どこからをハラスメントとして扱うのか、そのラインを院長と共有したうえで、「このレベルに達したら通話を切る」「このパターンは院長が折り返す」といった方針を決めておきます。
ここまでできれば、受付スタッフは「一人で抱え込んでいる」という感覚から、「仕組みと院長に守られている」という感覚へと変わっていきます。
クリニックのカスハラ対策は、受付スタッフの我慢やその場の気合いに頼る話ではありません。
受付をどう守るかを、電話の入口から仕組みとして設計し直すかどうかの問題です。
代表電話の一次受けをAIに任せて定型的な問い合わせを自動化し、通話内容を記録して院長がスタッフをデータで守れる状態をつくり、暴言や過度な要求に対する対応ラインをルールとして明文化する。
この三つを揃えることで、受付一人のクリニックでも、スタッフを守るための土台を持つことができます。
新橋トラストクリニックのように受付案内と自動応答をAIに任せ、年間約200時間の業務削減を見込んでいる例もあれば、浜野胃腸科外科医院のようにAI電話で診療時間や検査の説明・予約を一次対応し、医療スタッフが診療に集中しやすい環境をつくっている例もあります。
こうした事例に共通しているのは、「人を減らすこと」ではなく、「人が本来の仕事に集中できるようにすること」を目的にしている点です。
受付の増員が難しい一方で、このまま一人に負担を集中させる状況を避けたいと感じているクリニックほど、まずは代表電話の入口だけでもAIに任せることを、一度検討する価値があると考えます。
AIさくらさん(澁谷さくら)
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