「給料を上げても人が来ない」時代の採用戦略。Z世代が選びたくなる、“AIと同僚になれる”介護現場のつくり方

求職者は「アナログで根性論の現場」を避けている

Z世代を中心とする若手求職者は、給与条件と同じくらい「働く環境の効率性」や「精神的な安全性」を重視します。

彼らはデジタルネイティブであり、非効率な作業を嫌います。
面接や職場見学で、紙の記録が山積みになっていたり、スタッフが電話対応に追われて殺伐としている光景を見ると、「ここでは働きたくない（自分の時間が奪われる）」と直感的に判断します。

逆に、「DX（デジタルトランスフォーメーション）が進んでいる施設」は、それだけで「スタッフを大切にしている」「先進的で将来性がある」というポジティブなメッセージになります。
「うちは古い体質だから…」と諦める前に、テクノロジーを入れること自体が、最強の採用広報になることに気づくべきです。

新人が「3ヶ月で辞める」本当の理由＝“責任の重圧”

早期離職の主な原因として「人間関係」や「業務過多」が挙げられますが、もう一つ見逃せないのが「命を預かるプレッシャー」です。

経験の浅いスタッフにとって、夜間の見守りや、独居の方への訪問は恐怖との戦いです。「自分の判断ミスで、利用者の体調変化を見逃してしまったらどうしよう」「先輩のような『勘』が働かない自分は、この仕事に向いていないのではないか」

こうした孤独な責任感が、真面目な若手ほど心を折ってしまいます。ここで必要なのは、先輩スタッフからの指導だけでなく、「客観的な根拠（データ）によるサポート」です。

AIを「新人スタッフのバディ（相棒）」にする

AIツールを導入することは、現場に「24時間眠らない、頼れるベテラン同僚」を配置するのと同じ効果があります。
AIは、利用者の声のトーンや会話内容から、小さな異変をデータとして検知してくれます。

これにより、経験の浅いスタッフでも、「AIのスコアが下がっているから、先輩に相談してみよう」「データが注意を示しているから、訪室回数を増やそう」といった具合に、「根拠のある行動」が取れるようになります。

「何かあったらどうしよう」という漠然とした不安を、「AIも一緒に見てくれている」という安心感に変える。
この心理的安全性こそが、若手スタッフの定着率を劇的に向上させます。

「スタッフを守るためにAIを入れています」と言えますか？

採用面接の場で、胸を張ってこう伝えてみてください。

「当施設では、スタッフが一人で重圧を抱え込まないよう、最新のAI見守りシステムを導入しています」
「事務作業や予兆の検知はAIに任せて、あなたは利用者様との温かい会話やケアに集中してください」
これは、単なる「業務効率化」のアピールではありません。
「経営陣は、コストをかけてでも現場スタッフを守る意志がある」という、強力なメッセージです。
「3K（きつい・汚い・危険）」という介護の旧来イメージを払拭し、「テクノロジーと共存する、スマートで人間らしい仕事」へと再定義する。それができる施設だけが、意欲ある人材を引き寄せ、選ばれる時代になっています。

AI導入は、利用者様のためであると同時に、未来のスタッフへの投資でもあります。
「人が集まる施設」への転換点として、見守りAIの活用を検討してみてはいかがでしょうか。