AIによる老朽化予測は、事故やトラブルを未然に防ぐことで、安全な施設環境を提供し、長期的なコスト削減にも寄与します。これは、単に予測ツールとしてのAIの利用にとどまらず、安全管理の方法論そのものを革新するアプローチです。ただし、高精度の予測を実現するためには、適切なデータの収集と分析が不可欠であり、これが新たな課題として浮上しています。しかし、これらの課題を克服し、AI技術を適切に活用することで、より安全で持続可能な施設管理が実現されることが期待されます。
自治体から委託で、市民劇場を管理運営しているのですが、築年数がそれなりに立っているため、色々なところにガタが来ています。
定期的な点検は行っていますが、それでは分からない箇所に故障が出ます。
後追いの修理や工事というのは結構大変でして、修理を行うには当然施設の運営を止める必要があり、自治体側や利用する市民の方々にも迷惑をかけてしまいます。
また、人が利用するものですので、設備が壊れることによって利用者がケガをするなんてことが絶対起きないようにしなければなりません。
定期点検に利用する機器を今までよりも高性能なモノにすると言うのが1つの解決策ではあるのですが、当然コストが上がるわけです。
年間の予算が決まっている状態ではそう簡単にコストをかけることもできません。
そこで、大きくコストをかけずにできる事としてAI予測に白羽の矢が立ちました。
劇場というのは実はいろいろな危険物がありまして、直接利用者の方に被害が出るものとして、天井に吊り下げているさまざまな設備があります。
照明やスピーカー、音響用の反射板、マイク、カメラ、それらが移動するレール等々、総称して吊物装置というのですが、それがもし落下したら大変な事になります。
ですので吊物装置は鉄骨にガッチリ固定されており、万が一のことが起きないよう、安全には細心の気をつかっています。しかし、長年利用しているとボルトの緩みや金属疲労が起こり、危険な状態になる事もあります。
それを防ぐために定期点検を行っているわけです。
そこにさらにAIによる予測を加味して、より効率的により安全配慮できるようにして行こうと言うことで取り組みました。
我々はいくつもの施設を管理しているので、データは持っています。
AIの予測ソフトを購入し、過去に機材の劣化が認められた履歴を全て入力し、建築資材の物性データまで入れて、どんな素材のどんな組み合わせのものがいつ劣化するか?という予測を試みました。
しかしうまくいかない。実際のデータと乖離する。
何がいけないのか分からず、くじけそうになりましたが、苦労して集めたせっかくのデータが無駄になるのかと思うとあきらめきれません。
そこで、AI専門の業者に依頼してみました。
すると色々なことが分かりました。
まず、必要なデータの不足。
設備の劣化に関係するデータが足りなかったので精度が悪かったのです。
ただ単にどこの施設の何がいつ壊れた…だけではダメなんですね。
施設の利用頻度や気温・湿度、部材の材質、音響機器による振動、地震が起きた回数と強度までが必要になるとは思っていませんでした。。。
実際の所、過去に取れていないデータも多く、依然データ不足ではあるのですが、今回は音響機器による振動が設備の劣化に大きな影響を与えている事が分かりました。
劇場の天井が部分的に共振を起こしていることも後々判明。
だからここのボルトが緩むのかと。
実際に精度高く設備劣化を予測するには、もっとデータを溜めていかなければなりませんが、AI予測の可能性を感じることが出来ました。
AI予測はリスク予見に使える事がわかりました。
ただ、精度の高い予測にはデータが必要です。
そもそもAI予測するためにデータを溜めていたわけではなかったのですが、いつどこで何のデータが必要になるか分かりません。
今後はリスク予測のために必要なものを全てデータとして取れるように仕組み作りしていこうと思います。
AIさくらさん(澁谷さくら)
ChatGPTや生成AIなど最新AI技術で、DX推進チームを柔軟にサポート。5分野のAI関連特許、品質保証・クラウドセキュリティISOなどで高品質を約束します。御社の業務内容に合わせて短期間で独自カスタマイズ・個別チューニングしたサービスを納品。登録・チューニングは完全自動対応で、運用時のメンテナンスにも手間が一切かかりません。