



多くのクリニックでは、午前の外来や夕方の時間帯になると、代表電話が鳴り止まなくなります。
受付スタッフは、来院した患者さんの対応、会計、レセコン入力、紹介状や書類対応をこなしながら、同時に電話にも出なければなりません。
電話の中身は、診療時間や休診日、検査前後の注意事項、予約の有無や変更・キャンセルなど、毎日のように繰り返されるものが大半です。
本来は紙やWebに書いてある内容でも、「とりあえず電話で聞く」という患者さんはまだまだ多く、そのたびに受付の手が止まります。
千葉県八千代市の浜野胃腸科外科医院では、診療時間や検査、内視鏡検査の説明・予約などの電話問い合わせをAIに一次対応させる構成で運用し、医師やスタッフが診療に集中しやすいように工夫しています。電話の入口をAIに任せることで、現場の中断回数を減らしているイメージです。
人を簡単には増やせない医療現場にとって、「電話の受け方そのものを変える」という発想が必要になっています。
電話予約や問い合わせの自動化には、ざっくり三つのタイプがあります。
それぞれの特徴を、クリニックの現場に当てはめて整理します。
一つ目は、昔からある「自動音声で案内して番号を押してもらう方式」です。
例えば「診療時間の案内は1を、予約の変更は2を押してください」という形です。
メリットは、比較的安価で導入しやすく、簡単な振り分けや時間外アナウンスには向いている点です。
一方で、高齢の患者さんにとっては「何度も番号を押す」ことが負担になりやすく、途中で切られてしまうこともあります。医療現場では、そこが大きなネックになります。
二つ目は、AIと話しながら用件を伝えるタイプです。
患者さんは「明日の午後はやっていますか」「検査の予約を変更したいです」と話すだけで、AIが内容を理解し、診療時間の案内や予約の受付を行います。
浜野胃腸科外科医院のように、診療時間や検査案内、内視鏡検査の予約など、一定のルールで説明できる内容をAIに任せてしまうと、受付スタッフが「同じ説明を一日中繰り返す時間」をかなり減らすことができます。
栃木県の小山中央診療所では、診療時間や健康診断の案内、近隣の病院や薬局の案内、予約アプリの使い方までAIがこなし、患者さんが自分で情報を取りに行ける環境を整えています。こうした取り組みと同じ発想で、電話も「まずAIが受ける」形に変えていくイメージです。
三つ目は、電話の自動応答と、予約システムや電子カルテ側を連携させるタイプです。
電話で受けた予約内容をそのまま予約システムに登録したり、特定の検査枠の空き状況を確認しながら案内したりする形です。
医療機関ではありませんが、愛知県一宮市役所では、市民税・県民税申告会場の予約業務をAI電話とオンライン予約で自動化し、ピーク時に1日1,000件以上の電話を24時間体制で受ける運用を行っています。
このように、「電話で聞いた内容をそのまま予約枠に落とし込む」仕組みが動いている事例はすでにあり、クリニックでも同じ考え方で設計していくことができます。
ここからは、実際に医療機関でAI受付やAI電話が使われている例を少し具体的に押さえておきます。
東京都港区の新橋トラストクリニックでは、多診療のクリニックでAI受付を導入しています。
受付前に設置したサイネージ上のAIが、受付案内や自動応答、患者さんからのよくある質問に対応し、定型的な問い合わせを肩代わりすることで、年間約二百時間規模の業務削減を見込んでいます。受付スタッフは、初診の方や説明が難しい患者さんなど、人が対応すべき場面に集中しやすくなります。
小山中央診療所では、AIが診療時間や健康診断の案内、近隣の医療機関や薬局の案内、予約アプリのインストールや操作の説明などを担当しています。患者さんが自分で情報を探しに行けるようにしながら、スタッフは書類作成や専門的な説明に時間を使えるようにする設計です。
浜野胃腸科外科医院では、電話での診療時間案内や検査説明、内視鏡検査の予約対応をAIに任せることで、医師とスタッフが診療に集中できる環境づくりにAIを位置づけています。
こうした事例を見ていくと、電話予約や問い合わせの自動化は「冷たい機械対応」ではなく、「人が本来やるべき医療行為と対面のケアに戻るための下支え」として使われていることが分かります。
電話予約や問い合わせをAIに寄せていくことで、現場では次のような変化が起きます。
一つ目は、「診察や処置の中断を減らせること」です。
AIが診療時間や検査の流れ、予約ルールといった定型的なやり取りを受け持つことで、医師や看護師が診察中に呼び出される回数が減り、集中して診る時間を確保しやすくなります。
二つ目は、「予約の取りこぼしを減らせること」です。
診療時間外やお昼休み、混雑時間帯でもAIは電話に出続けられるため、留守番電話に切り替わってしまうケースや、鳴りっぱなしで切られてしまうケースを減らせます。
三つ目は、「予約ミスや言った言わないの減少」です。
AIが聞き取った内容をそのままデータとして残せば、日時や人数の聞き間違い、担当者によるメモ漏れといったミスを減らすことにつながります。
四つ目は、「電話の中身が見えるようになること」です。
先ほどの事業者の事例と同様に、どんな問い合わせがどれくらい来ているかがデータとして残るようになると、「診療時間の案内が意外に多い」「特定の検査に関する質問が集中している」といった傾向が分かります。
その結果、ホームページの書き方を変えたり、院内の掲示物を工夫したりと、次の改善に生かせるようになります。
実際にAIを使った電話予約の自動化を検討するときには、次の点を院内で確認しておくと進めやすくなります。
まず、「今の電話番号をそのまま使えるかどうか」です。
番号が変わると、患者さんへの周知に手間がかかります。多くのサービスは、現在の代表番号に転送設定をする形でAIにつなげられるので、その方式をとれるか確認しておくと安心です。
次に、「電子カルテや既存の予約システムと、どこまで連携したいか」です。
最初は連携なしで始めて、後から必要な部分だけつなげる方法もあります。いきなりすべてを自動化しようとすると、院内の運用変更の負荷が大きくなりがちです。
三つ目は、「高齢の患者さんへの配慮」です。
番号を何度も押させる構成だと高齢の方には負担が大きいので、「お名前とご用件をゆっくりお話しください」と一度伝えれば済むような音声で話せるAIの方が、医療現場にはなじみやすいことが多いです。
最後に、「導入後にどこまで伴走してくれるベンダーか」です。
ある事業者の事例のように、「導入後も定期的に連絡や提案をしてくれるか」「診療時間や検査内容の変更に合わせて、案内文やシナリオを一緒に変えてくれるか」といった姿勢は、現場に根付くかどうかを決める重要なポイントになります。
電話予約の自動化やAI電話対応は、もはや「冷たい対応」ではありません。
受付スタッフを「電話番」から解放し、患者さんには「いつ電話してもきちんと話を聞いてもらえる安心感」を提供するための道具です。
新橋トラストクリニックのように受付の定型対応をAIに任せて年間二百時間規模の業務削減を見込んだり、浜野胃腸科外科医院のように診療時間や検査案内、内視鏡検査の予約をAIに寄せて診療への集中度を高めたり、小山中央診療所のように患者さん自身が情報を取りに行ける環境を整えたりと、医療の現場でも具体的な活用が進みつつあります。
まずは、自院の電話がどんな内容でどれくらい鳴っているかを棚卸しし、「ここからここまではAIに任せられそうだ」と線を引いてみるところから始めてみてください。
そのうえで、医療機関向けに実績のあるAI電話予約やAI受付のサービスに相談し、自院の規模や診療内容に合った形を一緒に設計していくのが現実的な一歩になります。
AIさくらさん(澁谷さくら)
ChatGPTや生成AIなど最新AI技術で、DX推進チームを柔軟にサポート。5分野のAI関連特許、品質保証・クラウドセキュリティISOなどで高品質を約束します。御社の業務内容に合わせて短期間で独自カスタマイズ・個別チューニングしたサービスを納品。登録・チューニングは完全自動対応で、運用時のメンテナンスにも手間が一切かかりません。