



もし貴社が「ChatGPT Team」や「Enterprise」プランを契約しているなら、ノーコード機能「GPTs」を使って、簡易的な社内規定Botを自作することが可能です。
GPT Builderを起動: ChatGPTの画面から「Create a GPT」を選択。
知識の登録: 「Knowledge」セクションに、就業規則やマニュアルのPDFファイルをアップロードする。
指示出し(Instructions): 以下のようなプロンプトを設定する。
あなたは優秀な人事担当者です。アップロードされた[Knowledge]の内容のみに基づいて、社員からの質問に回答してください。ファイルに記載がない場合は「規定に記載がありません」と答えてください。
これだけで、規定に関する質問に答えるAIが完成します。コストをかけずにスモールスタートするには良い選択肢です。
しかし、多くの企業が「GPTsで試してみたが、実務では使えなかった」と判断し、専用ツールへの切り替えを行っています。
最高裁判所の成功事例と比較するために、まずは「よくある失敗事例」を見てみましょう。
A社はGPTsに全社規定を読み込ませましたが、以下の問題が発生し、運用停止となりました。
権限管理の壁(役員報酬が見えてしまった):
GPTsには「閲覧権限」の概念がありません。一般社員が「役員の給与規定は?」と聞くと、Knowledge内の役員規定を参照して回答してしまい、情報漏洩騒ぎに。
ハルシネーション(嘘)の壁:
「交通費の上限は?」という質問に対し、AIが古い規定(Knowledge内の別ファイル)と新しい規定を混同し、誤った金額を回答。経理処理に混乱が生じた。
根拠不明の壁:
「なぜその回答なのか?」と聞いても、AIが具体的な参照ページ(出典)を正確に示せず、結局人間が原本を確認する手間が残った。
こうした「自作の壁」を乗り越えるために、最高裁判所などの厳格な組織が選んでいるのが、「RAG技術」と「権限管理機能」を備えた専用AIチャットボットです。
最高裁は、民事裁判書類電子提出システム(mints)のサポートにおいて、クラウド型AI「AIさくらさん」を採用しました。
GPTsで自作する場合でも、専用ツールを導入する場合でも、共通して重要なのが「AIに読ませるデータの質」です。
「PDFをそのままアップロードすればいい」というのは誤解です。AIが理解しやすいように、元のドキュメント(Word/Excel)を整形する必要があります。
人間向けの文書は文脈で理解できますが、AIは文脈を読むのが苦手です。
NG例: 「(前略)...提出すること。」(主語がない)
OK例: 「正社員は、(前略)...提出すること。」
NG例: 「詳細については、前項を参照のこと。」
OK例: 「詳細については、第3条 リモートワーク適用範囲を参照のこと。」
AIは「前項」がどこを指すのかを見失うことがあります。具体的な条文名に書き換えましょう。
NG例: ファイルAでは「当社」、ファイルBでは「弊社」、ファイルCでは「会社」
OK例: 全て「当社」に統一
キーワードがバラバラだと、AIはそれらを別の組織の話だと誤認するリスクがあります。
A: Teamプラン以上であれば、入力データが学習に使われない設定(オプトアウト)が可能です。ただし、前述の通り「社内での閲覧権限(部長のみ閲覧可など)」の制御はGPTs単体では難しいため、給与規定や人事評価規定を入れるのは危険です。
A: 専用ツールの場合、既存の規定ドキュメントがあれば最短1ヶ月程度で運用可能です。自作の場合は即日可能ですが、精度のチューニング(プロンプト調整)に数週間かかるケースが一般的です。
A: 「RAG(検索拡張生成)」という技術を使った専用チャットボットを選んでください。AIが勝手に文章を作るのではなく、「登録された規定データの範囲内」でのみ回答を作成するため、誤回答のリスクを極限まで低減できます。
社内規定のAI化は、バックオフィス業務の効率化に不可欠です。
まずはChatGPT(GPTs)で小規模なFAQから「自作」を試すのも良い経験になります。
しかし、全社展開や機密性の高い規定(給与・人事)を扱う段階になったら、「権限管理」と「セキュリティ(ISO27017)」が壁になります。
その際は、最高裁判所も認めた「専用AIチャットボット」への移行を検討すべきタイミングです。
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