観光案内が「始発から終電」へ。AI導入で9時-17時の壁を突破した話【連載第3回】

「9時-17時」しか開けられないジレンマ

人間のスタッフで運営する以上、労働時間やコストの制約から、観光客の行動時間すべてをカバーすることは困難でした。

観光客のリズムと、窓口のリズムのズレ

旅行者の行動は、一般的なビジネスアワー（9時-17時）には収まりません。早朝の特急で到着する人もいれば、夜遅くにホテルや食事処を探す人もいます。しかし、これまでの有人案内所では、そのニーズに応えきれていませんでした。
インタビューにおいて、担当者は導入前の状況をこう語ります。

「以前はスタッフによる案内が午前9時から午後5時まででした」

これが有人対応の限界です。始発から終電まで人を配置しようとすれば、早番・遅番の複雑なシフト管理に加え、早朝・深夜割増賃金が発生し、運営コストは跳ね上がります。

稼働時間は2倍以上へ。AIが実現したスペック比較

AIさくらさんの導入により、コストを固定化したまま、案内可能時間を大幅に拡張することに成功しました。

始発から終電まで「待機」できる強み

AIは疲れませんし、休憩も不要です。

「AIさくらさんに切り替えたことで、始発から終電まで対応できるようになりました」

この言葉の通り、追加の人件費を一切かけることなく、駅が動いている時間は常に案内所を開けておくことが可能になりました。「いつでも開いている」という事実は、観光地としての安心感に直結します。

「早朝・深夜」のニーズを取りこぼさないために

時間制約の撤廃は、単なる効率化だけでなく、早朝・深夜利用者の満足度向上（CSアップ）に貢献しています。

「時間に制約されない」という価値

導入の成果は、単に「時間が伸びた」ことだけではありません。担当者は、旅行者の具体的な行動パターンを踏まえてこう評価しています。

「旅行者の方は早朝や夜にも訪れることが多いので、時間に制約されずに案内できるのはとても助かっています」

例えば、始発で出発する際の乗り換え案内や、終電間際のホテルへのルート案内など、有人窓口が閉まった「後」にこそ、切実な困りごとは発生します。そうした「誰にも聞けない空白の時間」をAIが埋めたことで、機会損失を防ぎ、利用者にとっての利便性は飛躍的に向上しました。

よくある質問（FAQ）

Q1: 夜間のディスプレイの明るさや音量は調整できますか？

A: はい、可能です。設置場所の環境に合わせて、時間帯ごとに画面の輝度や音量を自動調整する設定が可能です。

Q2: 深夜に機器トラブルが起きた場合はどうなりますか？

A: 基本的にはリモートでの死活監視を行っており、システム側のエラーであれば遠隔で復旧可能です。物理的な破損等を除き、現場に駆けつけることなく運用を継続できる仕組みが整っています。

まとめと次回の予告

第3回では、AI導入によって「9時-17時の壁」を突破し、始発から終電までのサービス提供を実現した成果について解説しました。「眠らない案内所」を手に入れたことで、時間的な機会損失はなくなりました。
しかし、観光案内所が直面する壁は「時間」だけではありません。「言葉の壁」もまた、大きな課題です。次回は、2027年の国際イベントを見据えた「多言語対応」の戦略について深掘りします。