



英語以外の言語スキルを持つスタッフの確保は難易度が高く、属人化しやすい課題があります。
観光客の国籍が多様化する中で、英語だけで全ての案内をカバーすることは難しくなっています。しかし、英語に加え、中国語、韓国語などを流暢に話せる人材を採用し、かつ観光案内所のシフトに定着させることは、多くの自治体にとって現実的ではありません。
今回の導入事例でも、AIの「多言語対応力」は高く評価されています。
「AIさくらさんは5か国語に対応しており、英語以外の言語にもスムーズに対応できる点がとても心強いです」
人間の場合、「英語は話せるが韓国語は分からない」といったスキル差がどうしても生じますが、AIであれば常に均一なレベルで、複数言語に対応し続けることが可能です。
AI導入は、採用難易度の高い多言語スタッフを「24時間365日」雇うことと同義であり、コスト対効果に優れています。
インタビュー担当者が語る「心強さ」の背景には、現場での突発的な対応苦労があります。AIであれば、画面上の言語切り替えボタン一つで、瞬時にその国のネイティブのような案内役に切り替わります。「この言語は分からないので対応できない」という機会損失(おもてなしの失敗)をゼロにできる点は、観光地としてのブランドを守る上でも大きな強みです。
2027年の国際園芸博覧会というビッグイベントに向け、今からAIによる受入体制を強化し、データの蓄積を行っています。
本事例の視点は、現在の課題解決だけにとどまりません。2027年に横浜で開催される国家的なプロジェクト「GREEN×EXPO 2027(国際園芸博覧会)」を見据えています。
「2027年には『GREEN×EXPO 2027(国際園芸博覧会)』の開催が予定されており、多くの方が新横浜駅を起点に来場されると思います」
国際的なイベントでは、想定を超える多様な国・地域からの来訪者が予測されます。その時になって慌てて通訳スタッフを探すのではなく、今からAIを運用し、多言語案内のノウハウやデータを蓄積しておく。担当者は次のように展望を語ります。
「その際に向けて、AIさくらさんによる多言語案内をさらに充実させ、より快適な観光案内を目指していきたい」
この「長期的な視点での育成」こそが、自治体DXにおける成功の秘訣と言えるでしょう。
A: AIさくらさんは、単なる機械翻訳ではなく、観光案内に特化した自然な会話データを学習しています。そのため、駅名や施設名などの固有名詞も正しく認識・発話することが可能です。
A: はい。AIのシステムアップデートにより、タイ語やフランス語など、需要に応じて対応言語を拡張できる柔軟性を持っています。
第4回では、採用難を解決し、国際イベントにも対応しうる「多言語インフラ」としてのAI活用について解説しました。人が苦労して習得する言語スキルも、AIなら「標準装備」。これを使わない手はありません。
さて、全5回にわたる連載も次回で最終回です。最後は、これまでの導入効果を総括し、「結局、AI観光案内所は定着したのか?」という運用のリアルな実態をまとめます。
AIさくらさん(澁谷さくら)
ChatGPTや生成AIなど最新AI技術で、DX推進チームを柔軟にサポート。5分野のAI関連特許、品質保証・クラウドセキュリティISOなどで高品質を約束します。御社の業務内容に合わせて短期間で独自カスタマイズ・個別チューニングしたサービスを納品。登録・チューニングは完全自動対応で、運用時のメンテナンスにも手間が一切かかりません。