整形外科の午前外来は、高齢者の再診が多く、リハビリの予約確認や、問診前の問い合わせが絶え間なく入る。午後にはスポーツ外傷の新患が入り、リハ枠や診療時間の確認が増える。
電話は1日に100件以上。
スタッフ2名で出ても追いつかず、3コール以内に取れないことも多い。結果、患者はイライラし、「何度かけても繋がらない」と口コミに書き込む。
実際、それを見て他院へ流れてしまった新患もいた。
多くのクリニックは「人手が足りない」と感じる。けれど本当に問題なのは、“人が対応しなくてもいい電話”が多すぎる構造にある。
診療時間、休診日、持ち物、アクセス方法——。
よくある質問に毎回人が対応している限り、電話は減らない。
本質は“人手不足”ではなく、“電話対応の設計ミス”だったのだ。
求人票を出せば、掲載費だけで月数万円。応募があっても面接に来るのは数人。採用まで平均3か月、その後のOJTにさらに3か月──半年かけて戦力になった頃、より高い時給や土日休みを理由に辞めてしまう。
残されたスタッフは、再び電話に追われ、残業が増え、疲弊する。院長は「結局また募集をかけるしかないのか」とため息をつくが、同じサイクルを繰り返しても根本は変わらない。
そこで発想を変えてみる。
「人を増やす」以外に、電話業務そのものを減らす方法はないのか?
もし“新人を1人育てる”より早く、“電話の7割を自動で処理する”仕組みが手に入るとしたら──。
人手不足を「採用」で解こうとする常識を疑ったとき、クリニックの未来は別の方向に開き始める。
千葉県郊外にある T整形外科クリニックは、午前だけで外来60人、午後はリハビリ患者が途切れない地域密着型の医院だ。受付は2人。ピーク時は同時に3本の電話が鳴り、取れなかった着信を⼀覧にして診療後に折り返すのが日課になっていた。
2024 年秋、院長は「採用より仕組みだ」と腹をくくり、AI電話受付を試験導入した。
設定はシンプル――診療時間・休診日・リハビリ空き状況・持参物・アクセスなど頻出 FAQ をテンプレート登録し、症状相談や緊急性が疑われる内容だけ人に転送するフローにした。
結果は1週間で数字に現れた。
・通話ログを解析すると、着信の約 70%が AI 内で完結
・受付の手が空いたことで、対面案内と会計がスムーズになり、待ち時間が平均7分短縮
・折り返し電話が1日 25 件 → 5 件に激減、残業はほぼゼロ
・Google 口コミには「電話がすぐ繋がって安心」「受付が丁寧になった」の声が増え、★2.3 → ★4.5 に上昇
何より大きかったのは、スタッフの表情と院長の働き方だ。
「18 時台に帰れる日が週3日に増えた」「電話が怖くなくなった」と受付は笑う。院長は空いた時間でリハビリ機器の更新計画を進め、地域の中学サッカー部向けに月1回の無料メディカルチェックを始めた。
電話に“出ない”選択が、時間と心の余白を取り戻し、クリニック全体の価値を底上げしたのである。
電話対応を人を雇う方法で解決しようとすると、常に“コスト・採用・教育”の3重負担がのしかかる。そこで T 整形外科は発想を転換した――「雇わない」。
AI電話受付は、言わば“24時間働き続けるバーチャルスタッフ”だ。
・夜間──救急外来の問い合わせは AI が症状をヒアリングし、緊急度に応じて院長のスマホへ自動転送。
・休憩時間──診療時間や持参物を 自然な会話音声ですぐ回答。折り返しはゼロ。
・診療中──リハビリ枠の空き状況をリアルタイムに読み取り、予約まで完結。
この“常時稼働スタッフ”がいるだけで、人間のスタッフは “本当に人がやるべき仕事” に専念できる。
・受付は対面案内と会計だけに集中
・看護師は処置・問診に集中
・院長は診療と医療判断に集中
結果、T クリニックでは、
・月 40 時間あった残業が 5 時間 に
・受付離職ゼロが 18 か月継続
・患者アンケートで「受付が親切」と回答した割合が 34%→78% に上昇
「もう一人いる」状態を仕組みで作れば、人手不足は“採用問題”ではなく “設計課題”になる。
院長の頭から “求人広告” という選択肢が消えた瞬間、医院経営の視界が一気に晴れた──それが AI を置く最大の価値だ。
AIさくらさん(澁谷さくら)
ChatGPTや生成AIなど最新AI技術で、DX推進チームを柔軟にサポート。5分野のAI関連特許、品質保証・クラウドセキュリティISOなどで高品質を約束します。御社の業務内容に合わせて短期間で独自カスタマイズ・個別チューニングしたサービスを納品。登録・チューニングは完全自動対応で、運用時のメンテナンスにも手間が一切かかりません。