



いきなりすべてを機械任せにすることは、現場にとっても利用者にとっても大きなストレスとなります。
新しいシステムを導入する際、担当者が最も恐れるのは「現場の混乱」です。特に観光案内所のような、老若男女、国籍を問わず多様な人が訪れる場所で、いきなり「今日からスタッフはいません、この画面に話しかけてください」と切り替えるのはリスクが高すぎます。
・機械が苦手な高齢者が立ち尽くしてしまう
・AIが答えられない質問が来た時に誰もフォローできない
・新しい機器への拒否反応が起きる
こうした事態を避けるために、本事例のプロジェクトでは「段階的な移行」という戦略が採られました。
「スタッフ×AI」の並走期間を設けることで、AIの学習と利用者の慣れを同時に促進しました。
インタビューにおいて、担当者は導入時の様子をこう振り返っています。
「最初はスタッフとAIさくらさんが並走しながら運用を始めたのです」
この「並走」こそが重要なポイントです。スタッフが横にいる状態でAIを稼働させることで、利用者は「分からなければ人に聞けばいい」という安心感を持ってAIを試すことができます。また、スタッフ側も「AIがどのような質問に答えられ、何が答えられないのか」を肌感覚で理解することができます。
並走期間を経たことで、クレーム等のトラブルなく、当初の計画通り完全無人化へ移行できました。
システム導入において「特に問題が起きない」ことほど難しいことはありません。しかし、本事例ではその難易度の高いミッションをクリアしています。
「特に大きな問題もなく、現在は当初の予定通りAIさくらさんのみで案内を行っています。利用者の方からも違和感なく使っていただけており、スムーズに移行できたと感じています」
並走期間中に、利用者が「AIでも十分解決できる」という体験を積み重ねたことが要因と考えられます。「AIさくらさん」の親しみやすいキャラクターや対話性能に加え、初期段階で人のサポートがあったことで、利用者の中にあった「機械への心理的ハードル」が自然と解消されたのです。
A: 施設の規模や利用者の層にもよりますが、一般的には1〜3ヶ月程度が目安です。スタッフが徐々に介入頻度を減らし、最終的にゼロにする「フェードアウト方式」が推奨されます。
A: 基本的にはAIの利用を促し、AIが回答に詰まった場合のみサポートに入ります。また、AIの回答ログを確認し、回答精度のチューニングに必要なデータを収集する役割も担います。
第2回では、失敗しないための導入プロセス「並走期間」について解説しました。リスクを最小限に抑えて無人化に成功した結果、現場には「コスト削減」以上の大きなメリット——すなわち、人間には不可能なレベルの「サービス拡充」がもたらされました。
次回は、その具体的な成果である「時間外対応」の革命的変化についてご紹介します。
AIさくらさん(澁谷さくら)
ChatGPTや生成AIなど最新AI技術で、DX推進チームを柔軟にサポート。5分野のAI関連特許、品質保証・クラウドセキュリティISOなどで高品質を約束します。御社の業務内容に合わせて短期間で独自カスタマイズ・個別チューニングしたサービスを納品。登録・チューニングは完全自動対応で、運用時のメンテナンスにも手間が一切かかりません。