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運送会社の電話対応、配車担当が1日何時間取られている?──再配達・時間変更の電話をAI自動応答で仕分ける方法

配車担当1〜2名の中小運送会社では、再配達・時間変更・状況確認の電話対応に1日あたり約1.5〜2.5時間を奪われている計算になります。国土交通省は再配達だけで年間約6万人分のドライバー労働力が失われていると試算しており、この問題は一社の業務改善では片付かない構造的な課題です。本記事では、現場の実態に即したAI電話自動応答の導入効果と、サービス比較の5つのチェックポイントを解説します。

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目次


配車担当の1日──電話が鳴るたびに配車表から目が離れる

朝8時、ホワイトボードの配車表を見ながらドライバーのルートを調整していると、電話が鳴る。「昨日の荷物、今日届きますか?」──対応して電話を切り、配車表に視線を戻す。どのドライバーのどのルートを調整していたか、思い出すのに数十秒かかる。そこにまた電話。「午前中の指定を午後に変えたいんですが」──伝票を探して配達順を組み直し、ドライバーに連絡する。
昼前にはドライバーから「不在で届けられなかった」の報告が入り始め、午後には荷受人から「まだ届かないんですが」の問い合わせが重なる。夕方になって振り返ると、午前中に立てた配車計画の半分も進んでいない──。
配車担当が1〜2名の運送会社では、こうした状況が日常です。1件あたり2〜3分の電話でも、1日30〜50件あれば約1.5〜2.5時間。配車計画の見直しやドライバーへの指示出しが後回しになり、配車の精度が落ちれば、ドライバーの待機時間や無駄な走行が増え、1台あたりの配送効率が下がります。電話対応の問題は、事務所の中だけでなく路上のドライバーの稼働効率にまで波及しているのです。

この問題は「うちだけ」ではない──国が動くほどの構造問題

これは個々の運送会社の努力不足ではなく、業界全体の構造問題です。国土交通省の試算によれば、宅配便の約1割にのぼる再配達を労働力に換算すると年間約6万人分のドライバーの労働力に相当し、再配達トラックから排出されるCO2は年間およそ25.4万トンと推計されています。EC市場の拡大で宅配便の取扱個数は年間約50億個に達しており、荷物が増えるほど再配達の絶対数も増え、その受付電話が運送会社の事務所に集中する構造は変わりません。

ドライバーへの直電──20年前の「便利な仕組み」が今のリスクに

もう一つ深刻なのが、荷受人がドライバーの携帯に直接かけてくるケースです。
もともとこの仕組みは、宅配大手が顧客満足度の向上とコスト削減を目的に、不在票にドライバーの携帯番号を記載し始めたことに端を発しています。当時は画期的なサービス改善でしたが、結果としてドライバーの携帯に電話が集中する構造を生みました。
「あと何分で届きますか?」「届け先を変更したい」──運転中にこうした電話がかかると、ドライバーは路肩に停車して対応するか、出られずに不在着信を溜めるかの二択になります。路肩停車のたびに5〜10分のロスが生じ、1日3〜4回重なれば30〜40分の稼働時間が消えます。
2024年4月から適用されたドライバーの時間外労働上限規制により、稼働時間の管理はこれまで以上に厳密になっています。限られた時間の中で配送件数を維持するには、1件ごとの配送効率を上げるしかありません。再配達や時間変更の電話を事務所のAI自動応答で一括受付し、変更内容をドライバーの端末に通知する仕組みを作れば、ドライバーへの直電そのものを減らすことができます。

事務所にかかる電話の中身を分解する──「自動化できる/できない」の線引き

運送会社に入る電話のすべてをAIに任せるのは現実的ではありません。重要なのは、電話の内容ごとに「AIで完結できる定型対応」と「人が判断すべき対応」を切り分けることです。
ネオマーケティングの調査によれば、通信販売利用者の約半数が再配達依頼を行っており、そのうち約2割が「気軽に依頼できるから」を理由に挙げています。つまり、再配達の電話は「緊急でもなければ複雑でもない、気軽にかけている電話」が相当数を占めているということです。こうした電話こそ、AI自動応答に最も適しています。

対応内容
自動化の適性
理由
再配達の受付(日時指定)
高い
日時の選択肢から選ぶだけで完結する定型対応
配達時間帯の変更
高い
変更先の選択肢が限定的で、AIが処理しやすい
「荷物は今どこ?」の状況確認
高い(追跡システム連携時)
追跡番号と連携すればAIが自動回答可能
届け先住所の変更
中程度
住所の聞き取り精度に依存。確認フローが必要
荷物の破損・紛失の報告
低い(人が対応)
状況確認・謝罪・代替対応など判断が必要
法人顧客からの集荷依頼・契約相談
低い(人が対応)
条件交渉や個別対応が発生する
事故・トラブルの緊急連絡
不可(人が対応)
即座に人の判断と指示が必要

上位3つ(再配達・時間変更・状況確認)で着信全体の5〜7割を占める傾向があります。この部分を自動化するだけでも、配車担当の電話対応時間は大幅に圧縮でき、その分の時間を配車計画の最適化やドライバーとの連携に回せます。

AI自動応答は実際にどう応答するのか──再配達受付のシナリオ例

言葉で「自動化できます」と言われても、実際の応答がイメージできなければ判断しにくいはずです。再配達受付をAI会話型で処理した場合の応答例を示します。
荷受人が電話をかけると、AIが応答します。「お電話ありがとうございます。○○運輸の再配達受付窓口です。再配達のご依頼でしたら、不在票に記載されている追跡番号をお伝えください」。荷受人が「1234-5678-9012です」と答えると、AIが照合して「お荷物を確認しました。再配達のご希望日時をお伝えください」。荷受人が「明日の午後でお願いします」と言えば、AIは「明日の14時から18時の間でお届けいたします。ご住所はお届け先と同じでよろしいですか?」と確認し、「はい」の回答で受付が完了します。受付内容は即座に配車担当のPCやスマートフォンにテキストで通知されます。
この一連のやり取りは約1〜2分で完了します。配車担当が電話に出て伝票を探す時間(2〜3分+作業中断のロス)と比べれば、事務所側の負荷はゼロに近くなります。

ホワイトボード管理の会社でもAI電話自動応答は使えるか?

結論から言えば、使えます。
AI電話自動応答のサービスを調べると「配送管理システム(TMS)との連携」が前提のように書かれていることが多いですが、ドライバー10〜50名規模の中小運送会社でTMSを導入済みの会社は一部に限られます。ホワイトボードに磁石で配車表を管理している、Excelで配送リストを作っている、紙の伝票でやりくりしている──こうした会社のほうがむしろ多数派です。
AI電話自動応答は、TMSがなくても以下の範囲で機能します。


自社の管理方法
AI自動応答でできること
できないこと(人が対応)
ホワイトボード+紙伝票
再配達の日時希望を受付→内容を配車担当にメールやチャットで通知
荷物の現在地のリアルタイム回答
Excel管理
上記に加え、受付データをCSVで出力→Excelの配送リストに手動反映
配達ステータスの自動回答
TMS導入済み
上記すべてに加え、追跡番号での配達状況自動回答、再配達の自動スケジュール反映
──

ポイントは、「システム連携がないと導入できない」と思い込まないことです。AIが再配達の希望日時を聞き取り、その内容を配車担当のスマートフォンやPCにテキストで通知する──この仕組みだけでも、「電話が鳴るたびに手を止める」状態からは解放されます。配車担当は通知をまとめて確認し、自分のペースで配車表に反映すればよいのです。
TMS連携は、運用が安定した後に段階的に検討する拡張機能と捉えるのが現実的です。

比較時に確認すべき5つのチェックポイント

チェック1:再配達受付の「分岐パターン」は自社の配送体制に合うか

再配達の受付は一見シンプルですが、自社の配送ルートに合わせた分岐設計が必要です。
時間帯の区分は自社のルートに合わせて設定できるか(「午前/午後」の2区分か、2時間刻みか等)

・「今日中に届けてほしい」等の曖昧な要望にAIが対応できるか
・不在票の番号や電話番号での自動照合ができるか
・置き配・宅配ボックスへの変更指示を受け付けられるか

国土交通省も再配達削減策として置き配や宅配ボックスなど多様な受取方法の普及を推進しています。AI自動応答で「置き配に変更」という受付ができれば、再配達そのものを発生させずに済むケースが増え、ドライバーの負荷軽減に直結します。
プッシュボタン型(番号入力で分岐するタイプ)は、選択肢が多いと荷受人が途中で電話を切ってしまうリスクがあります。AI会話型であれば「明日の午前中に届けてください」という自然な発話で受付できるため、荷受人の離脱を抑えやすい利点があります。

チェック2:受付内容のドライバーへの通知方法

再配達や時間変更を受け付けても、その内容がドライバーに伝わらなければ意味がありません。ただし、AIが受け付けた内容を配車担当の確認なしにドライバーへ直接通知する運用には注意が必要です。再配達の日時変更がルート全体の組み替えを必要とする場合、配車担当を経由せずにドライバーへ直接指示が飛ぶと、配送ルートの整合性が崩れるリスクがあります。
確認すべきポイントは以下の通りです。
・受付内容がまず配車担当に通知され、確認・承認後にドライバーへ転送される仕組みがあるか
・配車担当の確認が不要な定型変更(例:時間帯の前倒し/後ろ倒しのみ)と、確認が必要な変更(例:届け先変更)を分けて通知ルールを設定できるか
・通知のタイミング(即時/まとめ通知)を選べるか

理想的な運用は、「AIが受け付ける→配車担当に通知→配車担当が配車表と照合して問題なければ承認→ドライバーの端末に自動通知」という流れです。定型的な時間帯変更のみ、配車担当の承認を省略して自動通知する──というルールを段階的に広げていくのが、ルート崩壊リスクを抑えながら効率化を進める現実的な方法です。

チェック3:導入後のサポート体制

運送会社の配送ルート、時間帯区分、繁忙期のパターンは会社ごとにまったく異なります。
初期の応答シナリオ設計をどこまでサポートしてもらえるか

・繁忙期(お中元・お歳暮・年度末等)前のシナリオ変更に対応してもらえるか
・受付データの分析レポート(再配達率の推移、時間帯別着信傾向など)が提供されるか
・専任のサポート担当者がつくか、問い合わせ窓口のみか

中小運送会社にはITに詳しい専任スタッフがいないケースが多いため、応答シナリオの改善提案から設定変更まで専門スタッフが継続的に伴走してくれるサービスを選ぶと、「導入時の設定のまま放置され、古い時間帯区分で受付している」という失敗を防げます。

チェック4:自社の管理方法との相性

前述の通り、TMS連携が必須のサービスと、TMS不要で動くサービスがあります。
ホワイトボード+紙伝票の場合:受付内容のテキスト通知で十分か

・Excel管理の場合:受付データのCSV出力に対応しているか
・TMS導入済みの場合:自社のTMSとの連携実績があるか
・「将来的にTMSを入れたい」場合は、現時点ではTMSなしで運用を始め、後からTMS連携を追加できるサービスを選ぶのが安全です。

チェック5:費用対効果は「配車担当の時間」で計算する

料金の安さではなく、「配車担当とドライバーの時間をどれだけ取り戻せるか」で判断します。

計算項目
算出例
1日の再配達・問い合わせ電話件数
40件
うちAI自動応答で対応可能な件数(6〜7割)
約25件
1件あたりの対応時間
約3分
配車担当の削減時間(1日)
約1.2時間
月間(22営業日)の削減時間
約26時間

加えて、ドライバーの路肩停車(直電対応)が1日3回×10分=30分削減されるとすれば、ドライバー1人あたり月11時間の稼働時間を取り戻せる計算です。ドライバーが20名いれば月220時間。2024年問題で稼働時間の上限が厳しくなっている中、この数字のインパクトは決して小さくありません。

まとめ

再配達の電話対応は、個々の運送会社の業務上の手間にとどまらず、国土交通省が年間6万人分のドライバー労働力に相当すると試算する構造的な社会問題です。中小運送会社にとってのAI電話自動応答は、事務の効率化ではなく、配車担当の判断時間を守り、ドライバーの稼働時間を最大化するための投資として位置づけるべきものです。TMSがなくても、再配達・時間変更の受付を自動化し、配車担当への通知を仕組み化するだけで効果は出ます。比較の際は「再配達受付の柔軟性」「ドライバーへの通知方法」「サポート体制」「自社の管理方法との相性」「稼働時間ベースの費用対効果」の5つを軸に、自社の配送体制に合ったサービスを選んでください。

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