



「時給を上げても応募が来ない」「新人教育が追いつかない」コールセンターを取り巻く環境は、労働人口の減少により危機的状況です。人を確保できない結果、電話がつながらない「あふれ呼(放棄呼)」が増加し、機会損失を招いています。
これまでの「人を増やして解決する」アプローチは限界を迎えました。そこで今、注目されているのが、「生成AIをオペレーターの『最強の相棒』にする」という新しい運用モデルです。
従来のIVR(自動音声応答)やチャットボットと異なり、最新の生成AIは「対話」以外の裏方業務でも革命的な効果を発揮します。
1. 通話後の要約自動化によるACW短縮
オペレーターの業務時間の約3割を占めると言われるACW(After Call Work:後処理)。生成AIは、通話内容をリアルタイムでテキスト化し、通話終了と同時に「要約文」と「CRMへの登録用タグ」を自動生成します。
●効果: 1件あたり5分かかっていた入力作業が数秒で完了し、次の受電への待機時間が短縮されます。
2. 感情分析とリアルタイムアラート
声のトーンや言葉遣いから、顧客の感情(怒り・焦り・悲しみ)をAIが解析します。
●活用法: 「怒り」レベルが閾値を超えた瞬間、スーパーバイザー(SV)の管理画面にアラートを通知。SVは炎上する前に「ウィスパリング(ささやき指示)」や「モニタリング」で介入でき、新人の孤立を防げます。
3. FAQの自動生成と回答支援
優秀なオペレーターの回答ログをAIが学習し、ナレッジベースを自動更新します。
●支援: 通話中、顧客の質問を検知したAIが、オペレーターの画面に「最適な回答候補」をポップアップ表示します。これにより、経験の浅いスタッフでもベテラン並みの回答が可能になります。
ここで、弊社が支援した通販会社A社の事例(失敗と成功)をご紹介します。
「AIを入れれば、勝手に賢くなると思っていました」
当初、A社はAI導入さえすれば全て解決すると考え、古いマニュアルをそのままAIに読み込ませました。結果は散々でした。AIは古い規約に基づいて誤回答を連発し、かえってクレームが増加。「使えない」と現場から総スカンを食らいました。
【再起への一手】
私たちは「データの断捨離」からやり直しました。AIに読ませる情報を最新かつ正確なものだけに絞り込み、SVが毎日ログを見てチューニングを実施。3ヶ月後、ようやくAIの回答精度が90%を超え、結果としてACW(後処理時間)が40%削減されました。AIは魔法の杖ではなく、「教育が必要な新人」です。育てれば最強の戦力になりますが、放置すれば育ちません。この認識の転換こそが成功の鍵でした。
AI導入で最も大きな壁となるのが、現場オペレーターの心理的抵抗です。「自分の仕事がなくなるのでは」という不安は、無意識のサボタージュや離職を招きます。
これを防ぐには、導入前のメッセージ発信が重要です。
■ 伝えるべきメッセージ
●「AIは敵ではなく、面倒な仕事を肩代わりする『相棒』である」
「住所変更のような単調な入力作業はAIに任せよう。あなたには、人間にしかできない『お客様の不安に寄り添うケア』に集中してほしい」と、役割の高度化を伝えます。
■ 巻き込み型の導入
AIの回答精度をチェックする役割をベテランオペレーターに任せます。「AIを育てる先生」というポジションを与えることで、敵対関係から協力関係へと意識を変えることができます。
リスクを最小限に抑えるため、以下のステップで進めます。
1.現状分析: 問い合わせログを分析し、「件数が多く、定型的な質問」を特定。
2.PoC(検証導入): 特定の回線や夜間のみAIを導入し、ACW短縮効果などを測定。
3.ナレッジ拡張: 実際の会話データを元に、生成AIでFAQをブラッシュアップ。
4.全展開: オムニチャネル(電話・チャット・メール)への拡大。
インバウンド対応におけるAI活用は、単なる自動化ツールではありません。それは、オペレーターを「入力作業」から解放し、「接客のプロ」へと進化させるための組織変革です。
まずは自社のコールセンター業務のうち、「どの業務がAI向きか」の棚卸しから始めてみませんか?
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AIさくらさん(澁谷さくら)
ChatGPTや生成AIなど最新AI技術で、DX推進チームを柔軟にサポート。5分野のAI関連特許、品質保証・クラウドセキュリティISOなどで高品質を約束します。御社の業務内容に合わせて短期間で独自カスタマイズ・個別チューニングしたサービスを納品。登録・チューニングは完全自動対応で、運用時のメンテナンスにも手間が一切かかりません。