



私はかつて、地方自治体の市民課窓口に立っていました。3月の異動シーズン、窓口には長蛇の列。その横で鳴り響く電話。「いつまで待たせるんだ!」という怒号。受話器を取れば作業が止まり、ミスが起きる——。あの胃が痛くなるような現場の疲弊を知っているからこそ、私は今、DXコンサルタントとして「電話業務のAI化」を強く推奨しています。
電子申請が進んでも、高齢者を中心とした「電話」はなくなりません。だからこそ、人間が受けるべき電話と、AIに任せる電話を切り分ける必要があるのです。
実際にボイスボットを導入した、関東近郊のA市(資源循環課・ゴミ分別案内)の事例を紹介します。A市では、春の引越しシーズンに「ゴミの出し方」に関する電話が殺到し、職員が通常業務を行えない状態が続いていました。
■ 導入前の課題
・繁忙期の月間電話件数:約3,000件
・職員の状況:電話対応で日中の業務が進まず、毎日2〜3時間の残業が常態化。
■ AIボイスボット導入後「粗大ゴミの申し込み」「ゴミの分別区分」といった定型的な質問を、全てAIボイスボットに一次対応させました。
・職員の受電件数: 月3,000件 → 約800件(約73%削減)
・超過勤務手当(残業代): 課全体で月間 約200万円の削減 に成功。
・住民の声: 「夜中でも電話でゴミの分別が確認できて便利になった」と好評。
結果として、浮いた時間と予算を「ゴミ減量化キャンペーン」の企画や、複雑な個別相談の対応に充てることができ、住民サービスの質が向上しました。
地方自治体の担当者から最も多く寄せられる質問が、「ウチの地域の言葉(方言)をAIが理解できるのか?」という懸念です。結論から言えば、「事前のチューニング(学習)」を行えば、驚くほど高精度に認識します。
■ 実録:「ゴミをほかる」を認識させるまで中部地方のある自治体で導入した際のエピソードです。この地域では「ゴミを捨てる」ことを「ゴミをほかる」と言います。標準語のAIモデルのままでは、これを正しく認識できませんでした。
そこで、以下のプロセスでAIを「教育」しました。
1.辞書登録:「ほかる」=「捨てる(廃棄)」という類義語データをシステムに登録。
2.音声データの学習:地元の職員や高齢者のボランティアに協力してもらい、「テレビをほかいたいんやけど」「これ、ほれる?」といった様々なパターンの音声をAIに学習させる。
3.実証実験と修正:テスト運用で認識しなかったイントネーションを洗い出し、さらに微調整を加える。
この泥臭いチューニングを経ることで、AIは「ほかる」という言葉を聞いた瞬間に「廃棄方法の案内ですね」と標準語でスムーズに回答できるようになりました。今のAIは、単なる機械ではなく、地域に合わせて育てる「新人職員」のような存在なのです。
民間企業とは異なり、官公庁への導入には高いセキュリティ要件が求められます。
個人情報の保護とLGWAN対応住民の個人情報を扱う可能性がある場合、機密性の確保は最優先事項です。
・LGWAN(総合行政ネットワーク)対応: インターネットから切り離された閉域網での利用が可能か。
・国内サーバー管理: 通話データが海外サーバーに転送されず、国内法が適用される環境で管理されるか。
これらを満たすベンダー(LGWAN-ASP認定事業者など)を選定することが、導入への必須条件となります。
AI音声認識を活用したボイスボットは、単なる効率化ツールではありません。電話がつながらないストレスをなくし、職員を疲弊から守り、持続可能な行政サービスを実現するための「防波堤」です。
2040年、職員が半減しても住民サービスを維持するために。まずは、ご自身の課にかかってくる電話の「内容の内訳」を調査することから始めてみませんか。
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