IVRとは、コールセンターなどで電話による問い合わせに自動的に応答するシステムです。Interactive Voice Responseの略称で、自動音声応答システムとも呼ばれます。
IVRの仕組みは、入電した顧客に音声ガイダンスを流し、プッシュボタンや音声認識で用件を選択させるというものです。その後、適切な担当者や部署につなぐか、あらかじめ用意された情報を音声で伝えるかします。
IVRを導入するメリットは、以下のようなものがあります。
オペレーターの負担を軽減し、業務効率を向上させることができます。よくある質問や簡単な手続きなどはIVRで自動化できるため、オペレーターはより複雑な問題に集中できます。
顧客満足度や応答率を高めることができます。IVRは24時間365日対応可能で、入電内容に応じて最適なオペレーターにつなぐことができます。そのため、顧客は待ち時間や無駄なやり取りを減らし、スムーズに問題解決へと進めます。
コストを削減することができます。IVRは人件費や設備費などのコストを抑えることができます。特にクラウド型のIVRは初期費用や運用費用が低く、柔軟にスケールアップやスケールダウンが可能です。
情報漏洩リスクを低下させることができます。IVRは顧客の個人情報や機密情報をオペレーターに聞き取らせずに処理することができます。そのため、人的なミスや故意の漏洩のリスクを減らすことができます。
以上が、IVRの概要とメリットについての紹介です。
IVRは1990年代からコールセンターに導入され始めましたが、21世紀に入ってからはAIの発展によってさらに進化しました。現在では、スマートフォンの画面上で案内のタッチパネルを操作できるビジュアルIVRや、自然言語処理を用いて音声で会話できる対話型IVRなどが登場しています。
IVRの技術的な進化は、コールセンターにおける業務効率化や顧客満足度向上に大きな影響を与えています。IVRを導入することで、先ほど述べたようなメリットを得ることが出来ますが、一方で、IVRにはデメリットも存在します。例えば、以下のような問題が挙げられます。
・振り分けられる項目が多すぎたり、自分の用件に合う項目がわからなかったりすると、顧客が困惑やイライラを感じる可能性がある
・音声認識や自然言語処理の精度が低いと、顧客の発話を正しく理解できず、適切な回答や案内ができない可能性がある
・IVRだけでは対応できない複雑な問題や感情的な問題に遭遇した場合、顧客はオペレーターと直接話したいと思う可能性がある
以上のように、IVRは技術的な進化によってコールセンターの業務効率化や顧客満足度向上に貢献していますが、同時にデメリットも抱えています。IVRを導入する際には、顧客のニーズや感情を考慮した設計や運用が重要です。
また、オペレーターとIVRのバランスや連携も工夫する必要があります。IVRはコールセンターの業務を支える有力なツールですが、人間の対話と比べてまだまだ改善すべき点も多いと言えます。
IVRのユーザーエクスペリエンスとは、IVRを利用する際にユーザーが得る体験や感想、印象などを総称した言葉です³。IVRのユーザーエクスペリエンスが高いと、ユーザーはIVRを使いやすく、便利で、満足できると感じます。逆に低いと、IVRを使うことにストレスや不満を感じます。IVRのユーザーエクスペリエンスは、コールセンターの顧客満足度やブランドイメージに大きく影響する要素です。
では、どのようにしてIVRのユーザーエクスペリエンスを高めることができるでしょうか?ここでは、以下の4つのポイントを提示します。
・メニューの設計
・音声の品質
・ビジュアルの活用
・オペレーターとの連携
IVRのメニューは、ユーザーが目的に応じて選択できるように設計する必要があります。メニューが多すぎたり、順序が不明瞭だったりすると、ユーザーは混乱やイライラを感じます。メニューは以下のような点に注意して作成しましょう。
・メニューは3~5個程度に限定し、最も多い問い合わせ内容から順に並べる。
・メニューは簡潔でわかりやすい言葉で表現し、専門用語や略語は避ける。
・メニューは一度に1個ずつ読み上げるか、あらかじめ番号を付けておく。
・メニューは繰り返し読み上げるか、再度聞きたい場合の操作方法を案内する。
・メニューは階層化せず、必要ならばサブメニューを設ける。
IVRの音声は、ユーザーとコミュニケーションする手段です。音声が聞き取りにくかったり、不自然だったりすると、ユーザーは不信感や不快感を抱きます。音声は以下のような点に注意して作成しましょう。
・音声は明瞭で聞きやすいものを選ぶ。人間の声や合成音声のどちらでも構わないが、一貫性を保つ。
・音声は丁寧で親しみやすいトーンで話す。敬語や挨拶などの礼儀も忘れない。
・音声は適切な速度と間隔で話す。早口や長文は避ける。
・音声は自然言語処理を用いて、ユーザーの発話を正しく理解し、適切な回答や案内をする。
IVRは音声だけでなく、ビジュアルも活用できます。ビジュアルIVRとは、スマートフォンの画面上で案内のタッチパネルを操作できるシステムです。ビジュアルIVRは以下のようなメリットがあります。
・ビジュアルIVRは音声よりも情報量が多く、視覚的にわかりやすい。
・ビジュアルIVRはタッチ操作で選択できるので、音声入力よりも簡単でスムーズ。
・ビジュアルIVRはブランドカラーやロゴなどを反映できるので、企業のイメージを高める。
ビジュアルIVRを導入する際には、以下のような点に注意しましょう。
・ビジュアルIVRは音声IVRと連携させる。音声IVRからビジュアルIVRへの誘導方法やURLを案内する。
・ビジュアルIVRはデザイン性と利便性を高める。ボタンや壁紙などのUI要素を使いやすく魅力的にする。
・ビジュアルIVRはユーザーの操作履歴や入力情報を保存する。オペレーターにつながった際に、再度同じ情報を聞かないようにする。
IVRはオペレーターと連携して、ユーザーの問題解決に貢献する必要があります。IVRだけでは対応できない複雑な問題や感情的な問題に遭遇した場合、ユーザーはオペレーターと直接話したいと思う可能性があります。その際には、以下のような点に注意しましょう。
・IVRはオペレーターへのつなぎ方を案内する。オペレーターへつながるまでの待ち時間や順番を伝える。
・IVRはオペレーターへのつなぎ方を選択肢に入れる。ユーザーがいつでもオペレーターへ切り替えられるようにする。
・IVRはオペレーターへの情報引き継ぎをする。ユーザーがIVRで入力した情報や選択したメニューをオペレーターに伝える。
以上のように、IVRのユーザーエクスペリエンスを高めるためには、メニューの設計、音声の品質、ビジュアルの活用、オペレーターとの連携などのポイントに注意する必要があります。IVRはコールセンターの業務効率化や顧客満足度向上に貢献するシステムですが、ユーザーのニーズや感情を考慮した設計や運用が重要です。
ある大手金融機関では、顧客からの問い合わせが多岐にわたり、特に口座残高の確認や取引履歴の照会といった基本的な問い合わせが頻繁に発生していました。これに対処するため、同社は最新のIVRシステムを導入しました。
導入後、IVRは顧客からの問い合わせを自動的に分類し、口座残高や取引履歴に関する基本的な情報は自動応答で対応するようになりました。これにより、オペレーターはより複雑な問題に集中できるようになり、全体の業務効率が向上しました。また、IVRの自然言語処理機能を活用することで、顧客は声で簡単に必要な情報にアクセスでき、顧客満足度も大幅に向上しました。
結果として、応答率が向上し、顧客の待ち時間が短縮され、顧客からのフィードバックも非常に良好でした。特に、24時間365日対応可能な点が評価され、深夜や休日の問い合わせにも迅速に対応できるようになりました。
別の事例として、大手通信事業者では、新しいサービスや料金プランに関する問い合わせが急増し、コールセンターの対応能力が限界に達していました。この課題を解決するため、同社はビジュアルIVRを含む高度なIVRシステムを導入しました。
ビジュアルIVRの導入により、顧客はスマートフォンの画面を使って視覚的に案内を受けることができるようになりました。これにより、音声のみでは伝えきれない複雑な情報もわかりやすく提供できるようになりました。また、ビジュアルIVRと音声IVRが連携して動作することで、顧客がどの段階でどのような情報を入力したかをオペレーターが把握できるようになり、問い合わせ対応の効率が劇的に向上しました。
この結果、問い合わせ対応時間が大幅に短縮され、顧客の利便性が向上しました。特に、ビジュアルIVRの直感的な操作性が顧客に好評で、サービス利用のハードルが下がり、顧客満足度の向上に寄与しました。また、コールセンターの運営コストも削減され、業績改善にも貢献しました。
これらの導入事例は、IVRシステムがどのようにして業務効率化と顧客満足度向上に寄与するかを示しており、他の企業にとっても参考となるでしょう。
IVRはコールセンターにおける重要なシステムですが、ユーザーエクスペリエンスが低いと、顧客満足度やブランドイメージに悪影響を及ぼします。IVRのユーザーエクスペリエンスを高めるためには、メニューの設計、音声の品質、ビジュアルの活用、オペレーターとの連携などのポイントに注意する必要があります。
IVRはユーザーのニーズや感情を考慮した設計や運用で、コールセンターの業務効率化や顧客満足度向上に貢献できます。
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