



企業がオンライン面接を導入する最大のメリットは、移動時間や場所の制約がなくなり、採用活動が効率化される点にあります。実際にオンライン面接を導入したある中小IT企業では、面接官と候補者の日程調整がスムーズになり、選考のリードタイムが大幅に短縮されたという報告も挙がっています。
日程調整などの事務工数が削減されれば、その分の時間を「最終面接での丁寧な対話(魅力づけ)」に投資することが可能になります。結果として、候補者の志望度を高め、入社後のミスマッチを減らすことで、定着率の改善も期待できるでしょう。
しかし一方で、「対面よりもコミュニケーションの熱量が伝わりにくい」という見えない課題も存在します。だからこそ、面接官側の細やかな配慮が求められるのです。
オンライン面接における主役は候補者ですが、面接の「場」を作るのは面接官です。以下のマナーを意識し、候補者に安心感を与えましょう。
1. カメラの「目線」と明るい表情
オンライン面接で最も多い失敗が「画面に映る候補者の顔(下の方)を見て話してしまう」ことです。これでは、候補者からは「ずっと下を向いている」「目が合わない」と映り、冷たい印象を与えかねません。自分が話すとき、そして重要な質問を投げかけるときは、なるべく「PCのカメラレンズ」を直接見るよう意識してください。また、画面越しでは表情が暗く見えがちなので、対面の1.5倍ほどの笑顔と大きなうなずきを心がけることが大切です。
2. ネット環境と「背景」の整備
面接官側の通信が頻繁に途切れることは、企業の信頼を損なう原因になります。安定した有線LANや強力なWi-Fi環境を用意しましょう。また、自宅からリモートで面接官を務める場合は背景にも注意が必要です。生活感のある部屋が映り込まないよう、清潔な壁紙を背景にするか、企業のロゴが入った公式のバーチャル背景を使用することをおすすめします。
3. タイムマネジメントと「沈黙」のコントロール
オンライン面接は対面よりも会話のテンポが速くなりやすいため、事前の時間配分が重要です。また、通信のタイムラグが生じるため、候補者が話し終わってから「一拍置いて」相槌を打つようにしてください。質問に即座に答えるよう急かさず、候補者が考える「沈黙の時間」を許容する余裕を持つことが、相手の緊張をほぐすコツです。
画面越しでは、相手の熱量やニュアンスが伝わりにくくなります。面接官は以下の話し方を意識して、候補者の魅力を引き出しましょう。
具体的な事例を用いて質問する
「あなたの強みは何ですか?」といった抽象的な質問よりも、「過去のプロジェクトで意見が対立した際、あなたは具体的にどう対処しましたか?」といった、過去の行動特性を引き出す質問を心がけてください。
無駄な言葉を省き、端的に伝える
オンラインでは長時間の「演説」は候補者の集中力を削ぎます。自社の説明やフィードバックを行う際は、結論から端的に伝えることを意識し、双方向の対話になるよう心がけましょう。
オンライン面接に不慣れな候補者もいます。企業側から事前に丁寧な案内を行うことで、当日のトラブルを未然に防ぎやすくなります。
「当日のURLに入れない」「音声が聞こえない」といった技術的なトラブルは誰にでも起こり得ます。事前に「トラブル時の緊急連絡先(電話番号)」をメールで案内しておきましょう。
近年では、面接前の「PCとスマホ、どちらで参加すべきですか?」「背景はぼかしても良いですか?」といった候補者の細かな不安に対し、採用サイトにAIチャットボットを導入して自動対応させる企業も増えています。疑問をすぐに解消できる仕組みを整えることで、候補者に安心感を与えることができます。
スマートフォンで参加する場合、面接途中でバッテリーが切れたり、通知音で集中が途切れたりすることがあります。「フル充電での参加」「通知のオフ設定」「周囲の騒音が入らない静かな場所での接続」を事前に優しくアナウンスしておくのが親切です。
オンライン面接は、場所の制約をなくし、採用活動を効率化する素晴らしいツールです。しかし、どれほど技術が進歩しても、画面の向こうにいるのは「自社の未来を担うかもしれない大切な人材」であることに変わりはありません。
面接官が適切なマナーを守り、カメラの向こうの候補者に最大限の敬意を払うこと。そして、事前に十分な案内とサポート体制を整えておくこと。これらを徹底することで、候補者の本来の魅力を引き出し、自社の採用活動を成功へと導くことができるはずです。
ただ、オンライン面接は面接官のスキルや慣れによって、進行や評価がどうしても属人化しやすい傾向があります。
そのため、社内で共通の進行マニュアルや評価シートを用意し、事前に目線合わせを行っておくことが採用成功の大きな鍵となります。
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